ハマス軍事部門ナンバー2、イスラエルが殺害=米政府高官

アメリカのジェイク・サリヴァン大統領補佐官(国家安全保障担当)は18日、イスラム組織ハマスの指導者マルワン・イッサ氏がイスラエル軍の空爆で死亡したと発表した。また、ジョー・バイデン米大統領がイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と電話で協議し、イスラエル軍のラファ侵攻計画は「間違い」だと伝えたとした。

イッサ氏はハマスの軍事部門カッサム旅団のナンバー2で、イスラエルは最重要指名手配者の1人にしてきた。欧州連合(EU)も、昨年10月7日のハマスによるイスラエル襲撃に直接関与したとして、イッサ氏をテロリストのブラックリストに載せていた。

イスラエルのメディアは1週間前に、ガザ中部ヌセイラット難民キャンプの地下トンネル群を狙ったイスラエル軍の空爆で、イッサ氏が殺害されたと報じていた。

今回の発表が事実なら、イスラエルとハマスの戦争が始まって以降に死亡したハマス関係者で最高位の人物となる。

パレスチナ自治区ガザ地区を支配するハマスは、イッサ氏の死亡が報じられていることについて公式にコメントしていない。

イスラエル軍は昨年10月以降、ハマスの幹部を何人か殺害している。ハマスの政治指導者サレフ・アル・アロウリ氏は今年1月、ベイルート南部ダヒエで爆発によって死亡した。イスラエルによる攻撃だったと広くみられている。

ホワイトハウスのサリヴァン氏は、他のハマス指導者らがガザの「ハマスのトンネル網の奥深くに」潜伏しているとみられると説明。アメリカは捜索を続けるイスラエルを支援するとし、「彼らにも正義が訪れる」と付け加えた。

バイデン氏、ラファ侵攻は「間違い」と伝える

アメリカのバイデン大統領は18日、イスラエルのネタニヤフ首相と、戦争の行方をめぐって緊迫した電話協議を行った。

サリヴァン氏によると、バイデン氏はイスラエルへの支持と、同国に「ハマスを追及する権利」があるとの考えを改めて伝えた。一方で、約100万人が避難しているとされるガザ南部ラファへの侵攻は「間違い」だとして、民間人の死者が増えることを強く憂慮していると訴えたという。

サリヴァン氏は記者会見で、ラファ侵攻は「罪のない民間人の死者を増やし、すでに悲惨な人道危機を一段と悪化させ、ガザの無秩序状態を深め、イスラエルを国際的にますます孤立させることになる」と述べた。

ハマスが運営するガザ保健当局によると、昨年10月7日以降、ガザでは3万1000人以上のパレスチナ人が殺害されている。国際社会は死者の多さを非難しており、イスラエルは友好国からも距離を置かれている。

サリヴァン氏によると、バイデン氏はネタニヤフ氏との電話協議で、ガザでの「明確な、戦略の終わらせ方」を示すよう迫ったという。

「(バイデン)大統領は(ネタニヤフ)首相に対し今日再び、ハマス打倒という目標はアメリカも共有しているが、その実現には首尾一貫した持続可能な戦略が必要だと考えていると伝えた」と、サリヴァン氏は説明した。

サリヴァン氏はまた、ラファ侵攻に対するアメリカの懸念について話し合うため、イスラエルが数日中に「軍、情報機関、人道当局の幹部からなる組織横断的なチーム」を米ワシントンに派遣することで、両首脳は同意したと説明。

その会議が開かれるまで、イスラエルはラファ侵攻を先延ばしするとみられるとした。

一方、ネタニヤフ氏はX(旧ツイッター)で、バイデン氏と電話で協議したと報告。両氏が「戦争の最新の進展について議論」し、ハマス壊滅や全人質解放などのイスラエルの目標に関しても話し合ったとした。

(英語記事 Israel Gaza: US reports death of senior Hamas military leader Marwan Issa

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