新体育館「最大313億円」含む当初予算案を可決 鹿児島県議会予算特別委 29年開業へ事業本格化

県新総合体育館の関連議案を可決した県議会予算特別委員会=19日、県議会

 鹿児島県議会は19日、予算特別委員会(鶴薗真佐彦委員長、25人)を開き、最大313億円とした新総合体育館の事業費関連を含む2024年度一般会計当初予算案を賛成多数で可決した。22日の本会議でも可決の見通し。鹿児島港本港区ドルフィンポート跡地(鹿児島市)に29年7月の開業を目指す体育館事業の手続きが本格化する。

 採決は鶴薗委員長を除く委員の起立で行い、賛成21、反対3。夏の知事選に無所属での立候補を表明した自民の米丸麻希子議員は反対に回った。会派別では米丸議員以外の自民、県民連合、公明が賛成し、無所属の東清剛、橋口住眞両議員は反対した。

 新体育館の事業費関連は複数年度に分けて予算計上する債務負担行為。県は、基本構想より約68億円増えた事業費を3月定例会に初めて提案した。本会議での可決を経て、4月に入札を公告、12月に落札者を決める計画。

 予特委では採決に先立ち各会派が予算案への賛否を表明。新体育館の事業費が今後も膨らむ可能性があることに賛成の会派からも要望が相次いだ。「収支改善や経済波及効果を生み出す取り組みを」(自民)、「財政的に他の事業に影響を及ぼすことのないよう強く申し入れる」(県民連合)などの意見が出た。

 閉会後、鶴薗委員長は取材に「当局はこれまでの意見を胸に留め、事業に生かしてもらいたい。まずは県民に68億円増に対する理解を求めてほしい」と述べた。塩田康一知事は「本会議を見守りたいが、予特委での可決はありがたい」とした上で、各会派の注文について「議会での議論はしっかり受け止めたい」と話した。

 総額8405億1000万円の当初予算案には子ども・子育て支援や「稼ぐ力の向上」などのメニューを計上。予特委は24年度特別会計予算案11件も可決した。

県新総合体育館の事業費関連議案に起立せず反対する米丸麻希子議員=19日、県議会

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