“金利復活”はプラス?マイナス? 日銀の決断で暮らしが変わる 静岡県出身の総裁が「マイナス金利解除」を発表

「金利のない世界」から「金利のある世界」に日本が変わろうとしています。3月19日、日本銀行は2016年から続けていたマイナス金利を解除すると発表しました。今回の政策に変更によって私たちの生活にはどのような影響があるのでしょうか。

【写真を見る】“金利復活”はプラス?マイナス? 日銀の決断で暮らしが変わる 静岡県出身の総裁が「マイナス金利解除」を発表

静岡市葵区の洋菓子店「パティシエエヌトーク」。シュークリームを年間4万個を販売する人気店で、定番のカスタードのほか、イチゴやマロンなど様々な味が楽しめます。この店を近年、悩ませているのがコストの上昇です。

<パティシエエヌトーク 長島佑樹代表>
「円安の影響でモンブランの栗に関しては、2年前の3倍ほど金額が上がっている。その他も去年の2倍くらい」

食材の高騰など、私たちの生活に大きな影響を与えている歴史的な円安が大きく変わるきっかけになるかもしれないのが日銀の政策変更です。

<日本銀行 植田和男総裁>
「賃金と物価の好循環を確認。2%の物価上昇の目標の実現が見通せると判断。マイナス金利政策といった、大規模な金融緩和政策は役割を果たした」

静岡県牧之原出身の植田総裁をトップとする日本銀行は、2016年に導入したマイナス金利を解除すると3月19日発表しました。

金融機関が日銀にお金を預ける際、利息が付かずに手数料を取られてしまうのがいわゆるマイナス金利です。この制度の下で金融機関は日銀にお金を預けず企業や個人などにお金を積極的に貸し出すことでお金の流れを作り出し景気を良くしようと長年、努めてきました。

このマイナス金利を解除すると日本とアメリカの金利差が縮小するため、いまよりも円高になることが予想されているのです。円高は原材料の高騰に歯止めをかける期待もあります。

<パティシエエヌトーク 長島佑樹代表>
「ずっと上がり続けると先々不安になるが、一旦解除で値上がりに対して、一旦ストップかかるというものも増えてくると思うので、これからも頑張っていけるなと強い気持ちを持って臨めると思う」

一方、マイナス金利の解除を懸念する企業も。静岡市清水区にある青山建材工業は、住宅や店舗の屋根や内装などを手掛けています。

悩みの種になりそうなのは銀行からの借入金にかかる利息です。設備投資などで数億円単位の借り入れが必要となると、少し金利が上がっても支払利息は大きな額になります。

<青山建材工業 青山達弘代表取締役>
「借入金利が上がったら、お客さんが設備投資するときに、今まで10だったものが15になり、設備投資をやめちゃう、控えちゃうとかそうなると、なかなか大変。住宅もこれまでにも資材高で相当(金額が)上がっているので…」

企業にとっては死活問題につながりかねない金利の上昇ですが、私たちの生活にはどの程度、影響があるのでしょうか。

<静岡経済研究所 恒友仁専務理事>
「金利が動くということは、預金金利も貸し出し金利、ローンの金利も動くことになる。今回は変更幅が非常に小さいことから、あまり短期的には影響がないが、ないとはいえ、金利は動いていることから、これからジワリと借入の金利、預金金利が上昇していくことは見ておく必要がある」

17年ぶりとなった「金利のある世界」。今回はマイナス金利が事実上のゼロ金利になっただけとも言えますが、今後じりじり金利が上がった場合は、私たちの生活にも影響がにじり寄ります。

© 静岡放送株式会社