巨大な穴、日本に出現 穴を神と崇める教祖と信者のSFドラマが不穏すぎ

ビルより大きく、雲を突き抜けるほど巨大な穴が、突如出現。穴に入って帰ってきた者は誰もいない。穴を神と呼ぶ教祖も現れ、信者と共に救済を求める……。

ビジュアルを想像するだけでゾクゾクワクワクしてきそうな連続ドラマ『滅相も無い』(全8話)が、4月16日(火)24時59分からMBSドラマイズム枠で放送される(TBSでは25時28分~)。

監督・脚本は、舞台作家として世界を変える30歳未満を選ぶ「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2023」に選出された加藤拓也さん。

撮影には、演劇的手法と映像的手法をミックスするなど、意欲的な試みが多数行われた完全オリジナルのSFヒューマンドラマだ

加藤拓也のオリジナルSF群像劇『滅相も無い』

ドラマ『滅相も無い』は、突如巨大な7つの穴が現れた日本を舞台に、「穴の中には救済がある」と説く小澤(演:堤真一さん)と、彼を教祖として穴を信仰する団体の男女によるSFヒューマンドラマ。

リゾート施設に集まった男女8人が、穴に入る前に「なぜ入ろうと思ったか」を話して記録しなければならないというルールのもと、緊張感漂う中で人生を語り始める。

監督・脚本の加藤拓也さんは1993年生まれ、大阪府出身。岸田國士戯曲賞、読売演劇大賞演出家賞部門優秀賞などを受賞し、舞台作家として注目を集める人物だ。

一方で、映像でも、NHK『きれいのくに』(2021年)で市川森一脚本賞受賞、自身で監督・脚本した映画『ほつれる』はナント三大陸映画祭で受賞するなど、演劇と映像の双方でめざましい功績を残している。

『滅相も無い』は、自身初の連続ドラマ全話脚本・監督への挑戦作だ。

不穏な穴ドラマ! 撮影手法は演劇と映像をミックス

注目の“穴ドラマ”こと『滅相も無い』の撮影では、演劇的手法と映像的手法をミックスした試みを多数取り入れた。

信者8人の会合シーンはロケーション撮影が行われた一方、それぞれの人生を描くシーンは全てスタジオセットのみで表現。

信者の両親や友人など、語り手の人生に纏わる登場人物は、わずか6人のスタジオキャスト(主要登場人物とは別)が全話通して出演。約150役を演じ、セットチェンジ、早着替えもスタジオキャストが映像内で行うという、編集に頼らないリアルタイムでの場面転換を試みたという。

そうした意欲的な撮影方法は、公開されたティザー映像でも垣間見える。

そもそもこのティザー、本編と思しき映像は流れるものの、登場人物たちのセリフなどの音声は一切なし。穴から聞こえているかのような、不快かつ不気味な音が繰り返し流れるだけ。前述した実験的な撮影方法の様子もあいまって、ただただ不穏な雰囲気を漂わせている。

なお、劇伴音楽を担当するUNCHAINは、スタジオセットで本人役として出演。キャストの芝居に合わせた音楽を奏でた。

また、ティザーにも登場するオープニング映像は、ポップでレトロな画風が特徴のアニメーション作家/イラストレーター・若林萌さんが担当した。

ドラマ『滅相も無い』出演俳優陣コメント

●怒れない川端(かわばた):中川大志
20代男性、大学生。幼い頃から、怒り方がわからない。教祖・小澤に怒り方のアドバイスをもらうが…?

中川大志さんコメント
SF とリアルが混在し、現実と非現実の境目が分からなくなる、この作品の世界観に惹き込まれ、自分も是非参加したい。と胸が高鳴りましたが、その繊細で絶妙なラインを表現する事は、僕にとって簡単ではありませんでした。 加藤さんから頂く言葉の中にあるヒントを少しも逃さぬよう、そして巧みな共演者の皆様に飲まれぬよう、必死に過ごした時間はとても濃密で、ヒリヒリしました。

●思い出す菅谷(すがや):染谷将太
30代男性。小学生の頃の初恋の女性と偶然の再会を重ねる。

染谷将太さんコメント
苦しかったり、苦かったり、つまづいたり、浮き足立ったり。人類の四苦八苦を見事に加藤拓也氏が1つの箱に閉じ込めて、それを穴へ突っ込んでくれました。このドラマの出来事は、皆さんの人生の中には無さそうに感じつつも、いや?これはなんか心のひだに触れてくるぞ?いや?これはもはや自分の事か?という物事が繰り広げられています。その沢山の匿名性がある感情に浸って頂けたら、とても有意義な時間を加藤氏から貰えるのではないかなと思っております。何せこのジェットコースターのようなリズムを感じてもらい、沢山のモノを感じて頂きたいと願っております。

●田舎暮らしの松岡(まつおか):上白石萌歌
20代女性。バイト先のオルゴール記念館で不思議な体験をする。

上白石萌歌さんコメント
松岡役を演じさせていただきました、上白石萌歌です。まずは、ずっと憧れ続けた加藤拓也さんの世界に飛び込むことができたこと、心から幸せに思います。加藤さんの作り出す世界にはいつもなんとも言い表せないような不思議な引力があり、拝見するたびに私の心に新たな風を吹かせてくださいます。私たちの日常の延長線上にあるようで、どこか果てしなく遠い場所にいざなわれるような、唯一無二の質感。リアリティとフィクションとが交差する世界観に、いつも身ごと持っていかれそうな心地のよい危うさが好きです。 生きていくなかで避けては通れない苦しみや葛藤と私たちはどう向き合っていくべきなのか、考えを巡らせながら演じました。早くみなさまにもこの「滅相も無い」を体験してほしいです。お楽しみに!

●帰国生の青山(あおやま):森田想
21歳、女性。両親は日本人だが、イギリスで生まれ育った。バレエを習うも、辞めさせられ…?

森田想さんコメント
青山役を演じました、森田想です。再び手元へやってきた加藤さんの書く言葉は、わざと見過ごしていた痛みや苦しみを掬い上げてあっけらかんと突きつけてくる、恐ろしくて笑ってしまうほどに。当たり前にこちらの想像力では到底辿り着けない場所に立たされ、まるで感情単体が自分から放り出されるような本当に不思議な感覚を抱きました。そして、小さな存在の私にとってはあまりに彩り豊かな先輩方とリレーのように物語を運べたことは心を刺激される贅沢な経験でした。負った傷や後悔を背負い続け、思い通りにならない人生と欲の正体に向き合っていくことが出来るのなら、この作品を観て耳が熱くなる瞬間があるはずです。楽しみにしていて下さい。

●取り返しがつかない渡邊(わたなべ):古舘寛治
54歳、男性。司法試験に落ち続け、家族から無心している。

古舘寛治さんコメント
加藤くんという才能溢れた作家と若い俳優たちとの仕事は楽しかったです。しかし半屋外の豪華邸宅で寒さに耐えながらの長時間の撮影は最年長者のおじさんにはなかなか大変でした。スタジオパートもセリフが多くて、覚えたつもりでも忘れてゆく脳みそと必死に闘いながら頑張りました。おじさんはいつも必死です。いい作品に仕上がってたらいいな〜。出来上がりが楽しみです。

●起業家の真吾(しんご):平原テツ
40代、男性。SNS ビジネスで成功も、大手ホテルから不当な扱いを受ける。

平原テツさんコメント
最初、このお話を頂いた時にドラマで加藤拓也くんの作品に関われる事、そして素晴らしいキャストの方々と共演できる事に興奮しました。加藤くんの脚本はファンタジー要素はあっても、結局は人間そのものを描いていて、観る人に何かしらあてはまったり、「あぁ~何かわかるわその感じ」と共感出来るんじゃないかと思います。 演出も俳優の感じたまま演じさせてくれて、演技のすり合わせもスムーズで本当にやりやすい。 共演者の方々とも少ない時間でしたが、現場で楽しく作品づくりに没頭出来ました。各人物の色々なストーリーを楽しめる素晴らしい作品になっているので、是非ご覧になってください。

●好奇心の井口(いぐち):中嶋朋子
50代、女性。高校のときに交際した同級生が行方不明で音信不通になる。

中嶋朋子さんコメント
それは、心地よい違和感と、得も言われぬ親和性が共存する世界観。未体験なのに、妙に肌馴染みの良さがある――。まったくもって、奇妙な体験なのです。初めて脚本を読んだ時から、撮影の間も、撮影を終えてしまった今も、なんだか静かに興奮しています。誰かとシェアしたいけど、非常に個人的な感覚のような気もしていて、なにやら胸がドキドキします。大人になって、こういう気持ちになったことって、あったかなぁ。 早く誰か、「滅相も無い」という体験を共有出来る人が現れてくれないものかと、実は密かに待っているところです。

●夢うつつの岡本(おかもと):窪田正孝
30代、男性。小学生の頃、祖母の実家で、夢と現の境がわからなくなる経験をする。

窪田正孝さんコメント
加藤くんとまた仕事ができて心底嬉しかったです。脚本も演出も斬新でとても刺激的な現場でした。日常に突如巨大な穴が現れて、それがどこに繋がってるかも分からない。天国なのか地獄なのか。その人にとって都合のいい理由でいつでも入ることができる穴が存在したら人にはどんな心理が働くのか。清算したい過去、トラウマ、カルマ、人間の真髄が描かれた群像劇をお楽しみください。

●“穴”の教祖小澤(おざわ):堤真一
穴を信仰する団体の教祖。

堤真一さんコメント
加藤拓也監督の独特の感性が詰め込まれた、とにかく不思議な作品なので、撮影に入るまでも悩む日々が続いたんですが、楽しく撮影することができました。でもきっと登場人物たちに共感できる部分がたくさんあると思うので、物語をどう解釈するか、自分たちだったらどうするか、そんなことを考えながら観ていただけたらと思います。とにかく、出来上がりをすごく楽しみにしています。

©︎「滅相も無い」製作委員会・MBS

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