FA杯でチェルシーにあと一歩まで迫った2部のレスター、最注目のFWヴァーディーがいれば…【現地発】

3月17日、私はスタンフォード・ブリッジで行なわれたFAカップの準々決勝、チェルシー対レスターを取材した。

今季のチェルシーにとって、残されたトロフィーはこれだけだ。2020-21シーズンにはチャンピオンズリーグ(CL)を制したが、国内では17-18シーズンのFAカップ優勝を最後にタイトルを獲得できていない。

一方のレスターは、イングランド2部のチャンピオンシップで開幕から好調で首位を走り、容易にプレミア昇格を果たすと思われていた。しかし、それは1か月ほど前までのことで、直近のリーグ戦5試合ではわずか1勝のみ。リーズに勝点で並ばれて得失点差で2位に後退。調子が良いとは言いがたい。

そして、今回のチェルシー戦にはエースのFWジェイミー・ヴァーディーが負傷により欠場。彼のプレーを楽しみにしていただけに、非常に残念だった。

【動画】チェルシー対レスターのハイライト
私にとってヴァーディーは、チェルシーのスーパースターたちを含めても、この対戦で最も注目すべき選手だった。

彼はノンリーグからトップリーグでプレーするまでに成長し、プレミアリーグでも優れたストライカーの一人となった。加えて、人格者でもある。15-16シーズンにレスターがプレミアリーグで優勝した際、自宅で優勝パーティーを催したのは有名な話だ。

そしてヴァーディ―は37歳となった今でも、ゴールに対する嗅覚は全く衰えていない。今季は公式戦28試合で15得点をマークしている。

そんなストライカーを欠いて臨んだチェルシー戦で、レスターは2点のビハインドを追いつき、一時は2-2の同点としたが、終盤の2失点で2-4の敗戦。相手はかつてCLを制した時のチームからはほど遠かったが、あと一歩及ばなかった。

レスターにもしヴァーディーがいれば、と思わずにはいられない一戦だった。

文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)

著者プロフィール
スティーブ・マッケンジー/1968年6月7日、ロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでプレー経験がある。とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からのサポーター。スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝した。現在はエディターとして幅広く活動。05年には『サッカーダイジェスト』の英語版を英国で出版した。

© 日本スポーツ企画出版社