文化財を交流の場に 有識者委員会が提言 群馬・玉村

 群馬県玉村町内の歴史的建造物の保存や利活用を巡り、町内外の有識者らでつくる「歴史浪漫たまむら委員会」(熊倉浩靖委員長)は19日、町重要文化財の嚮義堂(きょうぎどう)(同町樋越)を多世代が交流する学びの場として活用することなどを石川真男町長に提言した。

 嚮義堂は江戸時代に庶民の学校として建造され、農閑期に漢学を学ぶ場となった。現存するのは明治期に建て替えられた建物。町に寄贈されたが、老朽化が進み本格的な活用はされていない。

 委員会は町の要請を受けて2022年度から2年間、嚮義堂や国登録有形文化財の重田家住宅(同町小泉)などについて協議。嚮義堂は「教育の歴史のシンボル」として保存し、学びの拠点とする方向性をまとめた。クラウドファンディングなどで補修費用を募ることも提案した。委員会も今後、研修などを通じて施設の価値を住民に伝えていく考えを示した。

 提言は、町全体の文化財を対象に、新年度から保存活用の将来ビジョンや具体策を示す「文化財保存活用地域計画」の策定に取り組むことなども求めている。

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