NY市場サマリー(19日)円4カ月ぶり安値、利回り小幅低下 株続伸

<為替> 円が4カ月ぶり安値を付ける一方、米連邦準備理事会(FRB)が20日に公表する3カ月に一度の政策金利見通しが注目される中、ドルが上昇した。

日銀は18―19日の金融政策決定会合でマイナス金利の解除のほか、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の撤廃、上場投資信託(ETF)の新規買い入れ停止などを決定。日銀が政策金利を引き上げるのは17年ぶりで、2007年2月以来となる。

市場ではこうした決定はすでにおおむね織り込まれていた。決定を受け、円は1%を超えて下落。米国時間の取引で対ドルで150.96円を付けた。終盤の取引では1.19%安の150.91円。

円は対ユーロで1.1%安の163.99円と、4カ月ぶり安値を更新した。

ジェフリーズ(ニューヨーク)の外為グローバル責任者、ブラッド・ベクテル氏は「日銀は金融市場と金融システムの日本での機能を正常化しようとしている。ここに至るまで日銀は大きなステップを踏んできた」と述べた。

日米金利差は依然として大きいため、円に対する圧力は続く見通し。MUFGの通貨ストラテジスト、リー・ハードマン氏は「日銀のフォワードガイダンスがかなり慎重なもので、日本の金利市場でさらにタカ派的なリプライシングを引き出すほどではなかったため、円ショートポジションの積み増しにゴーサインが出たと市場で受け止められている」と述べた。

FRBは19─20日の連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きを決定する見通し。市場ではFRBの金融政策の手がかりを得ようと、FOMC参加者の政策金利見通し(ドットプロット)が注目されている。

マッコーリーの外為・金利ストラテジスト、ガレス・ベリー氏は「FRBと日銀がほぼ同時期に政策決定会合を開く時は、市場の値動きを支配するのは常にFRBになる」と述べた。

主要6通貨に対するドル指数は0.33%高の103.90。約2週間ぶりの高値近辺にある。

豪ドルは0.85%下落し、1豪ドル=0.6504米ドルと、約2週間ぶり安値。

オーストラリア準備銀行(中央銀行)は19日、金利据え置きを決定。同時に、政策についてまだ何も決定しておらず何も排除していないとし、引き締めバイアスを弱めた。

ユーロは0.08%安の1.0863ドル、英ポンド0.2%安の1.2723ドル。ドルの上昇を反映し、共に約2週間ぶり低水準を付けた。

暗号資産(仮想通貨)では、ビットコインが4.07%安の6万2624ドル。先週の急騰を受けた食い売りで、一時は7%下落した。

NY外為市場:[USD/J]

<債券> 利回りが小幅に低下した。20日まで開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果待ちとなった。

指標10年債利回りは4.306%に低下。18日終盤は4.340%だった。

2年債利回りは前日の4.736%から4.693%に低下した。

2・10年債の利回り格差は1ベーシスポイント(bp)縮小しマイナス40bpとなった。

市場では2日間開催されるFOMCとその後のパウエルFRB議長の会見を注視。FRBは金融政策を据え置くと見込まれているが、同時に発表される経済・金利見通しが注目されている。

CMEグループのフェドウオッチによると、FRBが6月までに利下げに踏み切る確率は59.8%と前日の54%から上昇した。

米財務省は19日、42日物および52週物の財務省短期証券(Tビル)と20年債の入札を実施。20年債入札の落札最高利回りは4.542%。応札倍率は2.79倍と6月以来の高水準となった。

BTIGのマネジングディレクター、トム・ディガロマ氏は「市場はやや売られすぎだ。今回の20年債入札は確かにそれを証明するものだ」と指摘。「機関投資家がこの金利に飛びついたようだ」と述べた。

20年債利回りは入札後に4.556%まで低下。18日は4.578%だった。

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式> 主要3指数とも続伸して取引を終えた。 米半導体大手エヌビディアが序盤の下げから切り返し、1%高となった。投資家は20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を前に、金利政策の手がかりを探っている。

エヌビディアは、18日に従来製品より最大30倍高速という人工知能(AI)向け旗艦チップ「ブラックウェルB200」を発表したことが材料となった。

ウェドブッシュ・セキュリティーズの株式トレーディング担当マネージングディレクター、マイケル・ジェームス氏は、この日の市場について、エヌビディアの株価が上昇に転じたした後のセンチメントの改善と、経済の方向性に関する強気な見方によるものだと指摘した。

ダウ工業株30種採用銘柄では、ホーム・デポが2%、マクドナルド・アップルが1%超上昇した。

S&P総合500種の主要セクターでは、通信サービスのみが下落した。原油価格の上昇でエネルギーが1.1%上昇した。

セテラ・インベストメント・マネジメントのジーン・ゴールドマン最高投資責任者(CIO)は、「米連邦準備理事会(FRB)は20日に大きなサプライズを与えることはないだろうという楽観論がある」と述べた。

暗号資産(仮想通貨)関連では、交換所大手の米コインベース・グローバル、マイニングのライオット・プラットフォームズが、ビットコインの下落に連れ安となった。

ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を2.25対1の比率で上回った。ナスダックでも1.42対1で値上がり銘柄が多かった。

米取引所の合算出来高は107億4000万株。直近20営業日の平均は123億7000万株。

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> 米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策決定を翌20日に控えて持ち高調整の売 りが台頭し、反落した。中心限月4月物の清算値(終値に相当)は、前日比4.60ドル (0.21%)安の1オンス=2159.70ドル。

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> ウクライナによるロシア製油所への一連の攻撃などを背景に、続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前日比0.75ドル(0.91%)高の1バレル=83.47ドルと、前日に続き、中心限月の清算値ベースで昨年10月下旬以来約4カ月半ぶりの高値となった。5月物は0.57ドル高の82.73ドル。

NYMEXエネルギー:[CR/USJ]

ドル/円 NY終値 150.85/150.86

始値 150.52

高値 150.96

安値 150.35

ユーロ/ドル NY終値 1.0865/1.0867

始値 1.0842

高値 1.0867

安値 1.0844

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 96*29.50 4.4367%

前営業日終値 96*14.50 4.4660%

10年債(指標銘柄) 17時05分 97*21.00 4.2925%

前営業日終値 97*09.00 4.3400%

5年債(指標銘柄) 16時58分 99*25.00 4.2991%

前営業日終値 99*17.00 4.3560%

2年債(指標銘柄) 17時05分 99*28.25 4.6873%

前営業日終値 99*25.38 4.7360%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 39110.76 +320.33 +0.83

前営業日終値 38790.43

ナスダック総合 16166.79 +63.34 +0.39

前営業日終値 16103.45

S&P総合500種 5178.51 +29.09 +0.56

前営業日終値 5149.42

COMEX金 4月限 2159.7 ‐4.6

前営業日終値 2164.3

COMEX銀 5月限 2513.5 ‐13.0

前営業日終値 2526.5

北海ブレント 5月限 87.38 +0.49

前営業日終値 86.89

米WTI先物 4月限 83.47 +0.75

前営業日終値 82.72

CRB商品指数 286.8574 ‐0.3784

前営業日終値 287.2358

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