倍増したトラックリミット違反の罰則をF1ドライバーが批判。ルクレールは視認性の解決策を求める

 ジョージ・ラッセル(メルセデス)とシャルル・ルクレール(フェラーリ)は、F1のスポーティングレギュレーションの変更に伴ってFIA国際自動車連盟が適用した新しいペナルティシステムを批判し、トラックリミット違反に対する10秒のペナルティは「行き過ぎ」であると主張した。

 F1では昨年末まで、トラックリミットを超えて前走車を追い越し、その後ポジションを戻さなかったドライバーに標準で5秒のペナルティが科せられていた。現在はペナルティタイムが2倍になっている。

 先のジェッダ(サウジアラビアGP)では、ケビン・マグヌッセン(ハース)が最初のシケインでコース外れながら角田裕毅(RB)を追い抜いた後、この10秒ペナルティを言い渡された最初のドライバーとなった。チームメイトの仕事を容易にするため、中段グループをブロックすることを狙ったデンマーク人ドライバーの動きは物議を醸すこととなったが、ラッセルとルクレールはそれ以前から新たなペナルティに反対意見を述べていた。

 興味深いのはレギュレーション変更の背後にあったのが、昨季2023年のイタリアGP中にラッセル自身がとった行動だったということだ。GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)の理事を務めるメルセデスのドライバーは、ピットアウト直後にモンツァの最初のシケインをカットしてエステバン・オコン(アルピーヌ)の前に出たが、ポジションを返さなかった。

2024年F1第2戦サウジアラビアGP ジョージ・ラッセル(メルセデス)

 彼は後にこう説明した。「(コースを外れたのは)タイヤがピークに達していなかったからだ。クリーンエアでトライしてみたけれど、結局シケインをカットしてしまった」

「それでも、ペナルティを受ける価値はあると判断した。エステバンの後ろを何周か走っていたら5秒以上タイムを失うだろうと計算していたからね」

 過去数年間に他の何人かのドライバー同じことをしたため現在は抑止力がより大きくなったが、ラッセルは規制が行き過ぎだと信じている。

「テレビの映像では、その難しさを理解するのは困難だ」と彼は言う。

「ドライバーのシートポジションは非常に低く、タイヤの端15cmしか見えない。クルマは地面から70mm、ストレートの終わりには(ダウンフォースによって車高が下がるため)もっと低くなる。だから、自分がどこにいるのかを感じるために縁石が必要なんだ。結局のところ、コースによってはトラックリミットの問題は発生しない」

「このような観点から、問題が発生するサーキットはほとんどない。僕たちはそれらを解決する方法を見つける必要がある」

 視認性の欠如は、ルクレールが新たなペナルティが「厳しすぎる」と意見する背景のひとつであり、フェラーリのドライバーはFIAに対し白線をドライバーに見やすくするための解決策を求めた。

「トラックの限界をより尊重するためには、修正するか、少なくとも助けることが優先事項だと考える。なぜなら、現在の白線のままだと僕たちはそれを本当に見ることができないからだ」

「(昨年までの)5秒ペナルティでも充分に痛かったと思う。10秒というのは僕の考えでは多すぎるし、厳しすぎるように思う」

シャルル・ルクレール(フェラーリ) 2024年F1第2戦サウジアラビアGP

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