皇族が植樹した大分市の松、県が伐採作業 マツクイムシ被害で【大分県】

松の枝を切り落とす造園業者=18日午後11時41分、大分市高砂町
松を伐採した跡=19日、大分市高砂町

 県は18日深夜から19日未明にかけて、100年以上前に皇族が植樹した大分市高砂町のクロマツを伐採した。マツクイムシによる松枯れを起こしており、治療法がなく倒木や周辺の松に被害が広がる恐れがあることから切り倒しを決めた。

 18日午後10時半ごろから、市内の造園業者8人が作業に当たった。高所作業車に乗り込んだ2人がチェーンソーを使い、枝を切っていった。幹も輪切りにし、トラックに載せた。焼却処分する予定。

 県大分土木事務所や日本赤十字社県支部によると、松は国道197号沿いにあり、高さ約8メートル、幹回り約2.1メートル。1922年、日赤総裁だった閑院宮載仁(かんいんのみやことひと)親王(1865~1945年)が来県し、当時同所にあった日赤県支部を訪問した記念に植えた。

 支部は74年に移転し、松だけが残っていた。伐採作業を見に来た大分市三芳の秋吉信子さん(76)は69年から40年間、看護師として大分赤十字病院に勤務。「自分の身を切られる思い。こんな形でお別れするとは想像していなかった」と名残惜しそうに話した。

 松の由来などを記した「日赤県支部発祥の地」の記念碑は22日に撤去する。

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