夢をかなえるのは…(3月20日)

 勝利への糸は、惜しくも立ち切れた。19日の春のセンバツ1回戦。33年ぶりの出場を果たした学法石川高は善戦及ばず、甲子園を後にした▼対戦した群馬県の高崎健康福祉大高崎高は2002(平成14)年創部の新興勢力だ。今回の出場校で最高打率を誇り、優勝候補の呼び声もある。グラウンドに流れた学石の校歌に、在校生、卒業生みんなが目を潤ませた。先発の佐藤翼投手は強力打線に一歩もひるまず、五回まで無得点に抑え込んだ。ピンチにもナインは笑顔を絶やさなかった。本当にあと一歩、あと一打の幕切れだった▼昨夏の県大会で、古豪は長い眠りから覚めた。決勝で第1シードの聖光学院高を延長戦まで追い詰めた。現メンバーは「信じる」のBelieve(ビリーブ)の合言葉と再起を先輩から託されたという。連帯感を高め、秋の東北大会では強豪を破った。選手同士が信頼を寄せ合う絆の強さが、チームを新たな高みに導いた▼初戦突破はならずとも、ライトブルーのナインは教えてくれた。夢の舞台に立てるのは、諦めずに夢を追い続けた者の特権だと。学石は県内の球児を大いに刺激した。夏を目指す今年の戦いは、一段と熱くなる。<2024.3・20>

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