水素社会実現へ国や福島県に施策提言 県内のST設置事業者が連絡協議会設立 現状や課題、先進事例を共有

水素社会の実現に向け、連携強化を確認する(左から)相良氏、根本氏、前司氏、佐藤氏

 燃料電池車(FCV)などに水素を充填(じゅうてん)する定置式水素ステーション(ST)を設置・運営する福島県内事業者は19日、連絡協議会を設立した。高額な運営コストなど水素STの課題が依然として多い中、県が目指す水素社会の実現に向け、国や県に必要な施策を提言する。同日、浪江町の如水で設立総会が開かれ、事業者間での連携強化を確認した。

 水素STを運営する事業者が集まって連絡協議会を立ち上げるのは全国初とみられる。定期的に会合を開いて現状や課題、先進事例を共有し、国や県に改善案を伝える。現時点では、水素STの維持管理に関する規制の緩和や制度改革、運営面での財政支援などを申し入れる考えだ。

 伊達重機(浪江町)、根本通商(いわき市)、ふくしまハイドロサプライ(福島市)、佐藤燃料(郡山市)が発起人となり、県や浪江町などの自治体、水素ST関連事業者など36の個人・団体が加盟している。今後も趣旨に賛同する法人や団体などにも参画を促す。国との連携も模索する。

 総会では会長に根本通商の根本克頼社長を選んだ。根本会長は終了後の記者会見で、「皆さんで課題解決のための知恵を出し合いたい。日本全国のモデルになる組織を目指していく」と誓った。発起人代表を務める伊達重機の前司昭博社長、ふくしまハイドロサプライの相良元章社長、佐藤燃料の佐藤富雄執行役員本社統括部長が同席した。

 水素STを巡っては、県が2030(令和12)年度までに、県内に20基の定置式の設置を目指している。2023年度は8基を目標としているが、現状は半数の4基にとどまっている。高額な初期費用や運営費用、維持管理をする上での厳格な規制などが事業者の重い負担になっているという。

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