早め対策で霜ニモ負ケズ サクランボなど・県、キャラバン開始

凍霜害防止キャラバンがスタートし、注意点などを確認する生産者(左)と県の担当者=上山市相生

 サクランボなど果樹の凍霜害発生が懸念される時期が近づいているとして、県は19日、被害防止を呼びかけるキャラバンをスタートさせた。今年は暖冬の影響で例年より生育が早く、生産者に早めの対策を呼びかけている。

 出発式が上山市のJAやまがた南部営農センターで行われ、関係者が広報車で各園地を巡回した。畑に気温を観測できる小型装置を導入している同市阿弥陀地、枝松博さん(73)はヒーター8台と防霜ファンで対策を講じるとし「観測装置のおかげで自宅にいても気温が分かる。被害を最小限に抑えたい」。上山市相生、須田和弘さん(60)はスプリンクラーによる「散水氷結法」で対策する予定で「霜に負けず、おいしいサクランボを消費者に届ける」と話した。

 サクランボは降霜で雌しべが凍り、枯死すると実を付けなくなる。発芽から10日が経過し、雌しべの長さが2ミリ前後になった後、特に被害リスクが高まる。県園芸農業研究所(寒河江市)では18日現在、長さは「佐藤錦」が1.04ミリ、「紅秀峰」が1.29ミリ、「やまがた紅王」が1.60ミリ。3月末から4月下旬にかけて降霜被害があった昨年と同程度だという。

 県によると、ラ・フランスやリンゴ、ブドウなどの果樹も暖冬で平年より生育が早まっている。発芽時期がサクランボより遅く、凍霜害の発生が懸念されるのは4月中旬以降。過去には1回の降霜で大きな被害につながった例もあるとし、園地で火をたく燃焼法などの対策を呼びかけている。

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