「生活厳しいまま」「不安が大きい」 日銀マイナス金利解除、栃木県民の反応 事業投資「躊躇」も

 日銀がマイナス金利政策の解除を決めた19日、栃木県民からは住宅ローンの金利引き上げなど、暮らしへの影響を気にする声が聞かれた。日銀が利上げに踏み切った背景には春闘での大幅賃上げがあるものの、「生活は厳しいまま」「不安は大きい」と切実な声も上がった。「(借入金利が上がれば)投資しづらくなる」と懸念する事業者もいる。

 那須塩原市沓掛、地方公務員相馬広幸(そうまひろゆき)さん(42)は「住宅ローンが上がってしまうのではないか」と懸念する。「物価高で生活が苦しい時代の中での解除ということもあり、期待より不安が大きい」とした上で、「NISA(少額投資非課税制度)などの投資をする努力も必要になってくるのではないかと思う」と話した。

 栃木市大森町、団体職員稲葉英雄(いなばひでお)さん(54)は「大企業では賃金が上がっているが、全体を見れば賃金の上昇を感じている人は少ないのではないか」と指摘。「賃上げが伴わなければ住宅ローンを組んでいる人の負担は増える」と不安を口にした。

 「自分たちの生活にどう影響するのかまだ分からない」。さくら市上阿久津、会社員女性(30)は率直な胸中を明かした。「景気が良くなっているとニュースでは聞くけれど、実感は持てない。地方にいても実感できる形で景気が良くなってほしい」と語った。

 那須塩原市東小屋、パン製造販売「パン・アキモト」の秋元信彦(あきもとのぶひこ)社長(44)は「金利が0.1%上がっただけでも中小企業にとっては大きな問題」と受け止める。「負担感は強まるし、(事業拡張などの)投資を躊躇(ちゅうちょ)する傾向が強まるのではないか。株価上昇の恩恵はわれわれの所まで届いておらず、今は不安の方が強い」と打ち明けた。

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