パリの裁判所は19日、フランス最大のネットいじめとされる事件でをめぐり、インフルエンサーに嫌がらせをした罪に問われた被告28人に対し、最長1年6カ月の実刑判決を言い渡した。
裁判官らは被告28人について、フランスのラッパー「ブーバ」(Booba、本名エリー・ヤッファ)被告が駆り立てた「泥棒インフルエンサー」撲滅キャンペーンで、同国のインフルエンサー、マガリ・ベルダ氏に嫌がらせをしたと認定し、有罪と判断。
嫌がらせ行為がベルダ氏のメンタルヘルスに「実質的な影響」を与えたとした。
20歳から49歳までの被告28人は、4カ月から1年6カ月の実刑判決を受けた。
また、700ユーロ(約11万5000円)の罰金と、被害者への賠償金として合わせて5万4000ユーロ(約888万円)の支払いが命じられた。
ブーバ被告は悪質な嫌がらせをした罪で起訴されているが、罪状を否認している。
「窓から身を投げる寸前まで追い込まれた」
フランスで「インフルエンサーの女王」として知られるベルダ氏は、ライフスタイルとファッションの専門家としてキャリアを築いてきた。自身の会社「Shauna Events」を通じて、複数のソーシャルメディア・スターのマーケティングも手掛けている。
ベルダ氏はいじめを受けて「窓から身を投げ出す寸前まで追い込まれた」と法廷で語っていた。
ベルダ氏の弁護団は、ブーバ被告の投稿がオンライン上の「暴徒」をあおり、同氏に憎悪と侮辱に満ちたメッセージを送るようけしかけたと主張した。ブーバ被告はこれを否定した。
裁判所は、被告一人ひとりが、ネットいじめへの「参加を意識的に選択した」と指摘した。
ベルダ氏は今回の判決を「美しい勝利」だとたたえた。
「この2年間、(いじめのせいで)私の人生は破壊された」と同氏は述べた。「ようやく、自分は被害者だと認められた」。
同氏の弁護団は有罪判決について、「キーボードの向こう側で安全でいられる人は1人もいない」ことを示すものだと述べた。
ブーバ被告は2018年、フランスのラッパー「カーリス」(Kaaris)氏と共にパリの空港での乱闘に関わったとして、執行猶予付きの実刑判決を受けた。
ベルダ氏は別の事件でマネーロンダリング(資金洗浄)の罪で起訴されており、年内に出廷する予定。同氏の会社「Shauna Events」は詐欺の疑いで捜査を受けている。
(英語記事 Magali Berdah: Dozens jailed in France's largest cyberbully case)