老人ホームに「ディスコ」…介護士は引っ張りだこの「DJ玄」 静岡市

静岡市清水区の老人ホームで15日、プロのミュージシャンも参加して、ユニークな取り組みが行われ、利用者たちは特別な時間を楽しんでいるようでした。

静岡市の清水区にある「介護老人保健施設もくれん」。介護付きの有料老人ホームで、入居者はおよそ100人、日中はデイサービスも行っています。

「急変があった場合はナースと連携を取って…」
「了解です」

清水区在住の大滝亮輔さんは10年ほど前、結婚を機に出身地の山梨県から静岡市に移住。22歳で介護の仕事に就き、今年で14年。介護福祉士の資格も持っています。

介護士として働く一方、大滝さんには別の顔も…。

大滝亮輔さん
「(DJスタイルに着替えてやってくる)おざっす。あざっす」

実は大滝さん、音楽イベントなどで選曲や曲のミックスを担当するDJとして活動をしています。ハタチから始めたDJは今年で16年目。去年行われた焼津海上花火大会では、メーン会場のDJを任されるなど、県内のイベントにも引っ張りだこ。「DJ玄(げん)」として、業界内では知られた存在なのです。

大滝亮輔さん:「音楽と福祉で人を楽しませられたら。『DJと介護』『DJと福祉』はもっと可能性がありそうだと思って…」

こちらの施設の入居者は、「要介護度」が低い利用者が多く、リハビリの一環として、「音楽」が選択肢に入る状況でした。

大滝亮輔さん:「普段レクリエーションをやっても、輪投げ・風船バレー・歌を歌ったりなどがメーンなので、目で見て楽しんで昔を思い出しながら体を動かすのがメーンになる。足踏みや手を動かしたり、リハビリを兼ねてあしたはやりたい」

同僚女性:「大滝さんの人柄と人脈で素晴らしいと思う。(利用者は)なかなか刺激もないので、ここにいると。みんな楽しみにしていて良いじゃないですか」

イベントを盛り上げるため、照明器具を自腹で用意するなど、準備は万端です。

そして、迎えた15日。続々と会場には利用者が集まってきます。

利用者:「今ね、東京の渋谷にいるみたいだねって話してた。(照明が)クルクル回るから。できたらみんなで一緒に歌いたいって話してた。ディスコの曲を聞くのが楽しみ」

開演前の利用者の手には、大滝さんが準備したスティック状の照明が。いよいよディスコがスタート。

1960年代の名曲「上を向いて歩こう」に合わせて、モニターには当時の清水市の映像が流れるという粋な演出。懐かしい音楽と映像に、自然と手や口が動く利用者。

あっという間の40分間。参加した利用者は。

利用者
Q.今の気分は?
A.「最高でした。涙が出ちゃって、初めて見たので。本当に良かったよ、感動して涙が出た」

利用者:「大滝さんが一生懸命やってくれて、いつも優しいもんで。本当うれしかったよ」

元RIP SLYME SUさん:「こういう場をまず作ってくれた玄ちゃん(大滝さん)が素晴らしいと思う」

イベントをやり遂げた大滝さんは

大滝亮輔さん:「全体的に盛り上がったので、本当に良かった。職員の方も盛り上がってくれて、それもとてもうれしかった」

© 静岡朝日テレビ