東京Vの城福浩監督がチアゴ・アウベス獲得に言及…「見極めてきた中でのチョイス」、「このタイミングでないと縁はなかった」

[写真:©超ワールドサッカー]

東京ヴェルディの城福浩が、17日に加入が発表されたポルトガル人MFチアゴ・アウベス獲得について語った。

16年ぶりにJ1の舞台を戦う東京V。開幕4試合ではいずれも強豪クラブに善戦を見せたものの、2分け2敗の未勝利で降格圏の19位に位置している。

その中で攻撃に関しては、いずれも京都サンガF.C.から期限付き移籍で加入のFW木村勇大、MF山田楓喜が2ゴールずつを挙げ、4試合中3試合で先制点を記録。追加点を奪い切る部分で課題を残しているものの、昨季のJ2リーグで42試合57ゴールだったということを鑑みれば、まずまず健闘していると言える。

とはいえ、アタッキングサードでの個のクオリティ、指揮官が強く求めるゲームチェンジャーという部分で物足りなさは否めず。さらに、契約上直接対決で起用できないJ1からの期限付き移籍選手、今回のインターナショナルマッチウィークでもU-23日本代表に招集された山田楓喜、FW染野唯月らのパリ五輪候補組の離脱を考えた場合、前線の補強は必須とみられていた。

そういった中、クラブは昨季までJ2のライバルであるモンテディオ山形で主力を担った、J2通算64試合23得点のポルトガル人アタッカーを獲得。その新戦力は21日に実施されるメディカルチェックに先駆けて20日にチームに合流した。

同日、クラブハウスで囲み取材に応じた城福監督は、同選手獲得について、強化部との密なコミュニケーションを含め限られた補強予算の中、「見極めてきた中でのチョイスだった」と説明。また、先日にブラジルのボタフォゴFCとの契約を解消し、フリートランスファーの状況にあった点も獲得を決断する大きな要素のひとつになったと語っている。

「我々のクラブの規模で何がやれるのかというのは、ずっと強化と話しをしてきましたし、あれもこれもということではなく、いわゆるクラブのバジェットの中で、見極めてきた中でのチョイスだったと。おそらくタイミングも、このタイミングでないと縁はなかったと思います」

「あとは彼のコンディションを、いかにケガさせずに上げていくかというのがポイントになる。そこが上がりさえすれば、我々が実際去年J2ですけども、見てきたものというのはあるので、まずはそこのレベルにコンディションを戻すということがすごく大事。日々見極めながら彼と向き合いながら、やっていけるといいなと思います。そうすれば彼の良さというのは、我々もしっかり確信を持っているものがあるので、まずそういう環境というかコンディションを作ることが大事かなと思います」

チアゴ・アウベスは山形で左ウイングを主戦場に、センターフォワードや前線の複数ポジションでプレーしてきた万能型アタッカー。そのため、現在は[4-4-2]をメインシステムに[4-3-3]、[4-2-3-1]のオプションも持つ東京Vでは幅広い起用法が期待される。

城福監督も「両方をイメージ」と、前述の攻撃陣の離脱者の問題を抱える中、役割を固定せずに多才なアタッカーの最大値を引き出したいと考えている。

「特にオリンピック組が、あるいはこのチームはレンタル組が多いので、前線の選手がいるようで、試合によってはいないという可能性がかなり高い。そこで彼に高いレベルの競争をしてもらう。その中でどこのポジションが一番良いのか、組み合わせも含めその試合ごとに見極めていけるといいかなと思います」

同様に、豊富な運動量、高い守備強度、献身性が求められるチームスタイルにおいて、スタメンとして全力を出し切らせて後続にバトンを繋ぐのか、ゲームチェンジャーとしてバトンを受ける役割を与えるのかについても、起用法を模索していきたいとしている。

「今後も我々が出し切ってバトンを繋いでいくというのは変わらないです。その中でどちらの役割になるかはコンディションが戻ったときに、見極めていく。その試合ごとになるかもしれないですけど、見極めていくことになると思うし、おそらく100%のコンディションになれば、両方をやり得る。バトンを渡す方(先発)でも受ける方(途中投入)でも…。とにもかくにも早くその競走に立てるように上げてあげたい」

登録手続きに問題がなければ、最速で今月29日に行われる明治安田J1リーグ第5節の京都戦でデビューを飾れる見込みだが、「そこはデイ・バイ・デイ」と、最後の実戦から1カ月以上遠ざかっていることもあり、起用のタイミングに関しては慎重な姿勢を示した。

「ケガをさせられないので、我々が求める強度のところをどこまでやって、どんなリバウンドが出るのかを確かめていく状況になるかなと思います」

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