まさにゴラッソ。「シュートは下手」「おっさんが走らされた」と自虐ネタ連発も清水・乾貴士が千葉戦で見せた圧巻のフィニッシュ

[J2第5節]千葉 1-3 清水/3月20日/フクダ電子アリーナ

J2の4節では“オリジナル10対決”が実現。前半は先制されながら同点に追いついたホームの千葉が優位に試合を進めるも、後半に勝ち越した清水が3-1で勝利を飾った。

清水は4勝1敗で2位に浮上し、一方の千葉は2勝3敗で12位に後退した。

1ー1で迎えた80分、チームに貴重な勝ち越し点をもたらしたのは、35歳の乾貴士である。相手エリア内右で縦パスを引き出すと、右足を強振。ゴールニア上を射抜き、目の前の清水サポーターを歓喜させた。

【動画】「決勝点は頼れるファンタジスタ」乾貴士の圧巻フィニッシュ

4-2-3ー1のトップ下で先発した乾は、「僕自身調子が悪かった。チームに迷惑をかけました」と振り返り「もっと前を向きたかったですし、もっと仕掛けたかったですし、今日はミスばっかりだったので、特にイージーなトラップのミスだったり、ターンしようとして取られるところがあったので、もっと練習して上手くなりたいです」と反省しきり。

それでもカルリーニョス・ジュニオがGKが弾いたところを詰めた先制点につながるシュートも放つなど、勝利に大きく貢献した。

「シュートは下手なので(笑)。ただ判断というか、そこは間違ってないと思います。1点目(C・ジュニオのゴール)はセオリー通りファーで、誰かが詰めてくれたら良いなくらいで打てた。

2点目(自身の得点)は、ディフェンスがファーから来ていたので、ファーに打ったら当たるかもというのがあったので、ニア気味の大体あのへんに打った。そうしたちょっとした判断はできているのかなと思いますが、シュート自体は下手なので、期待されたら困ります」

そう周囲を笑わせたが、さすがのプレーである。

今季は古邊考功氏、新田涼氏のふたりのフィジカルコーチの下で走力を鍛えてきた。

「今年に関してはキャンプから走らされたので(笑)。36歳になるおっさんが走らされたので。でも、チームとしてしっかり走れるようになると掲げた以上、そういうトレーニングをやるとなって、古邊さんを呼んで、結果としてチームとして走れているみたいなので、良いのかなと。夏場がどうなるか分からないですが、まだまだしっかり走れているので続けていければなと」

そう話すように自身のコンディションも良さそうだ。

「本来は攻撃的に楽しいサッカーをしたいですが、あと33試合もあるなかで、こういうゲームもある。今日のように粘り強くしっかり勝点3を取れるようにやっていきたい」

昨季はあと一歩のところで昇格を逃した清水において、やはり乾がキーマンになりそうである。

ちなみに最後に「明日の日本と北朝鮮の一戦は?」と訊けば、37歳で代表復帰した長友佑都の名を出し、「佑都くんが出るのかどうか注目しています」と、いたずらっぽい笑顔でスタジアムを後にした。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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