市議らの喫煙、受動喫煙対策講じず 足利市役所本庁舎「中庭」で 市長「利用再検討、議会と相談」

足利市役所本庁舎3階にある中庭。手前奥の角が喫煙場所になっている=19日午後、同市本城3丁目

 栃木県の足利市役所本庁舎の「中庭」に受動喫煙を防止する措置が講じられないまま喫煙場所が設置されていることが20日までに、下野新聞社の取材で分かった。市は健康増進法で認められる「特定屋外喫煙場所」としているが、屋内からの出入り口はガラス戸で隔てられているだけ。喫煙場所は主に市議が利用しており、一般社団法人日本禁煙学会は「中庭での喫煙は法の趣旨にそぐわず、時代に逆行している。市議ならば市民や子どもの見本となり、責任ある行動をとるべきだ」と批判している。

 中庭は市議会本会議場などがある本庁舎3階にある。天井はなく窓ガラスと壁に囲まれた構造で、ガラス戸を開けて一般傍聴者や市職員らが通る屋内通路と行き来できる。ガラス戸を開けた際に煙が屋内に流れ込む恐れがあるほか、特定屋外喫煙場所として認められる条件の非喫煙場所との区画、喫煙場所の明確な標識掲示も講じられていない。

 2019年7月に一部施行された改正健康増進法は市役所などの公共施設は原則敷地内禁煙とする一方、必要な受動喫煙対策を講じた場所に特定屋外喫煙場所を設置できるとした。

 横山育男(よこやまいくお)市議会議長によると、中庭の喫煙場所は前の市長だった当時、経過措置として暫定的に認められたという。横山議長は下野新聞社の取材に「もし現執行部がこの場所での喫煙を禁止するなら、それに従う」と答えた。

 早川尚秀(はやかわなおひで)市長は「改正法施行当時に市が認めたことではあるが、再検討を議会と相談したい」と話した。

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