レッドブルの功績を称えるメルセデスF1代表。“一強”の現状を変えるためのルール変更は提案せず

 メルセデスF1のチーム代表を務めるトト・ウォルフは、レッドブルやライバルチームとの間に大きなギャップがあることを認めているが、レッドブルの覇権を抑制するためのルール変更を主張するつもりはない。それは、レッドブルで同じくチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーがかつて陥った“罠”だ。

 2022年にF1は、より接近した競争とよりエキサイティングなレースを実現するために、テクニカルレギュレーションの大幅な見直しを実施した。レッドブルは当初から圧倒的な勢力として浮上し、2023年のセンセーショナルなシーズンではあらゆる記録を塗り替えた。今シーズンも彼らがふたたび覇権を握ることを示す兆候があるが、このスポーツの現在の不平等な状態が続くと、ファンを遠ざけかねないという懸念が高まっている。

2024年F1第2戦サウジアラビアGP マックス・フェルスタッペンが優勝、セルジオ・ペレスが2位に入賞。レッドブルは2戦連続の1-2フィニッシュを達成した

 皮肉なことに、メルセデスは自身が圧倒的な覇権時代を約10年間享受した後に、ライバルの支配を受ける側についた。しかしウォルフは、2015年にホーナーが取ったアプローチに倣うことはないだろう。レッドブルのチーム代表は、F1のレギュレーションを変更し、メルセデスのアドバンテージを制限するようFIAに働きかけたのだ。ウォルフは、レッドブルのライバルたちはゲームのレベルを上げ、よりよい仕事をしなければならないと述べている。

「2014年/15年シーズンに、近くにいるチーム代表仲間が、ルールが支配的すぎるから変更すべきだと言った罠に私ははまりたくない」と、ウォルフは最近ジェッダで語った。

「彼ら(レッドブル)は過去2年間、全チームのなかで群を抜いて最高の仕事をしてきたと思うし、その功績は認められるべきだ。つまり、まさに彼らは望みどおりの距離を空けており、近くには誰もいない。彼らはただ異なるレベルにいるだけだ。そして、我々のスポーツは正直なスポーツだ。最高のパフォーマンスは、マシン、機械、そして人間によって与えられる」

2024年F1第2戦サウジアラビアGP トト・ウォルフ代表(メルセデス)

 2024年シーズンの最初の2レースを振り返ると、これまでフェラーリがレッドブルの最も近いライバルとして浮上しているが、スクーデリアは予選とレース形式の両方で、レッドブルにコンマ数秒の後れを取っている。しかしチーム代表のフレデリック・バスールは、このギャップはレギュレーションの調整ではなく、フェラーリの2024年型マシン『SF-24』のポテンシャルを最大限に引き出すことで埋められると考えている。

「昨年と同じ改善ができたら、心強いことだ」とバスールは語った。

「正直なところ、私はチームに集中しているし、マシンを開発しなければならないという事実に集中している」

「そして、ある週末にレッドブルの上に立ったとしても、私はこの同じアプローチを保ち、次の週にはもっとよい仕事をするよう努めるつもりだ。1位や2位、3位になったからといって、立ち止まったり、さらなる開発をしないことにはならないからだ。我々は全力でプッシュしており、今後も同じアプローチを続けていく」

「それが興味深いことかどうかは私の範囲外だが、我々は追いつく必要があるという事実に完全に集中しているだけだ。彼らが今も我々より有利な立場にあることは明らかであり、我々は開発を続け、プッシュし続けなければならない」

2024年F1第2戦サウジアラビアGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)&セルジオ・ペレス(レッドブル)

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