県、高温少雨への対策のマニュアルを作成 昨夏の農産物被害受け

記録的な高温少雨を受け、県が作成した農産物に関する対策マニュアル

 昨夏の記録的な高温少雨で、水稲など県産農作物の品質や収穫量に悪影響が生じたことを受け、県は基本的な対策を改めて見直してもらおうと、マニュアルを作成した。高温に対応する栽培技術について写真やイラスト、データを交えて分かりやすく紹介している。冊子にまとめ生産者などに配布し、気象変動に強い産地形成につなげる。

 水稲は昨年、登熟期に高温が続くなどしたため、玄米へのデンプン蓄積が不十分となり、粒の一部が乳白色になる「白未熟粒」が多く発生した。県産米の1等米比率(昨年12月末現在)は45%と落ち込んだ。

 マニュアルでは、高温下でも十分に登熟を進めるため、イネと根の活力維持に向けた土作りや苗作りをポイントに挙げた。昨年、土に堆肥やケイ酸肥料などを用いた圃場で品質低下が軽減された事例を示し、土壌診断に基づいた適切な土作りが重要だと強調。苗作りでは、高温でも健常な育苗ができるよう日数や温度の管理徹底を促している。

 果樹や野菜、花卉(かき)は昨年、実の日焼けや生育異常などが発生した。対策マニュアルでは、かん水で土壌水分を確保し、果実肥大を促進▽散水で樹体や果実の温度を下げる▽直射日光を遮り、木や株の温度上昇を抑制▽換気による高温障害の回避―の四つを要点に挙げた。

 果樹ではスプリンクラーや遮光資材を積極的に活用し、高温時には複数回の散水が望ましいと啓発している。かん水の実施や落果防止剤の使用でリンゴの収穫減少を抑えた事例も盛り込んだ。

 水稲・大豆(22ページ)と園芸品目(52ページ)に分けてまとめた。冊子を各1万部発行し、今月末から生産者やJAなどに配る。県担当者は「マニュアルを参考に、改めて基本技術を徹底し、適期の適切な作業に努めてほしい」と話している。

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