コロナ禍の学長就任

 この春、大学を卒業する学生の多くは新型コロナウイルス禍の中で入学した。入学式は中止や縮小、授業はオンライン。アルバイトもできなくなり困窮した学生もいた▲長崎国際大の安東由喜雄学長の学長生活もコロナとともに始まった。4年前に就任した直後、国際大の学生のコロナ感染が判明、対応に追われた▲ただ、地域にしてみれば、大いに助かることになる。国際大に医学部はないが、安東学長は医師で、熊本大では医学部長も務めた。知識と経験を生かして検査センターを開設し、診療所も設け、ワクチン接種にもいち早く取り組んだ▲持ち前のバイタリティーを発揮して学外でも活動した。ラジオのパーソナリティーを務め、本紙では「シネマ時々、医学」のタイトルでコラムを執筆してもらった▲ロシアによるウクライナ侵攻が始まった2年前、ウクライナを舞台とする映画「ひまわり」が注目を集めていた。そのことを伝えると早速、平和へのメッセージを添えた原稿を送ってくれた▲医師として長年取り組んでいるのはアントニオ猪木さんも患っていた難病「アミロイドーシス」。今月末で大学を去り、4月からは熊本の病院で、根本的な治療法がまだ見つかっていないこの病の研究を続けるという。難病の克服に向け研究が進むことを祈念したい。(永)

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