ひと WBCムエタイU―15世界大会優勝 福島市北信中の藤倉祢虎さん(15)

 勝利を確信し、試合終了と同時に拳を突き上げた。世界の頂点に上り詰め、セコンドに付いていた父和幸さん(40)と一緒に喜びを爆発させた。「優勝して父やジムの皆さんに恩返ししたかった」。夢をかなえ、充実感に浸る。

 全国大会を制し、世界挑戦の切符を手にした。舞台は2月上旬、タイ。スーパーフェザー級には8人が出場した。1回戦を不戦勝で通過し、準決勝はイタリアの選手をKOで下した。迎えた決勝は、体格も技術も上回るポルトガルの選手を相手に攻めの姿勢を貫き、判定勝ちを収めた。

 世界一を目指し、練習漬けの毎日だった。朝は午前6時から1時間ほど、下校後は福島市内にあるジムに行く前に1時間30分ほど、和幸さんを相手にミットを打った。週に1度、所属ジムとは違う埼玉県のジムにも通った。送り迎えをしてくれたのは和幸さんだ。文字通り、親子でつかんだ世界のベルトとなった。

 弱い自分を変えようと小学1年から競技を始めた。この春から高校生。プロへの誘いもあったというが「学校生活を楽しんでみたい」と笑顔で話し、未来に希望を膨らませている。(渡部里菜)

 福島市出身。北信中3年。K―1アマチュア全日本大会やオールジャパンアマチュアキックボクシング全日本選手権などで優勝。「キクチジム」所属。

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