【震災・原発事故13年】避難12市町村への関心全国調査 訪問したい24% 福島県、新ツアー提案へ

 福島県は東日本大震災と東京電力福島第1原発事故による避難指示などが出された県内12市町村の交流人口に関する初の全国実態調査を実施し、今後12市町村を訪問する意向のある人は24%だった。10~20代の若年層や50代の割合が高く、首都圏などに住む人が多い。「県産食材を食べて応援したい」「復興の現状を見たい」などの理由が目立つ。県は調査結果から訪問意向がある人は社会貢献意識が高く、好奇心が旺盛で地域独自の文化に興味があると分析。新年度、需要に応えるホープツーリズムのツアーを提案し、情報発信を強化して新たなファンの開拓を目指す。

 全国約1万人を対象にウェブアンケートを行った。人口構成比に応じた性別や年齢の人から回答を得て、20日までに結果を取りまとめた。震災と原発事故発生後、双葉郡8町村と田村、南相馬、川俣、飯舘の4市町村を訪れた経験や訪問意向の有無、理由などを尋ねた。

 訪問する意向があるとした人の性別は男性56%、女性44%。年齢別では23~29歳の若年層や50代の割合が高かった。地域別に見ると、首都圏をはじめ東日本の人口の多い都市部の居住者が多い傾向がある。

 訪問したい理由を複数回答で尋ねたところ、「普段食べられない食材を食べられる」「文化、伝統、歴史などに引かれる」などもあった。重視する点は「知識や視野を広げることができる」「アウトドア、スポーツが楽しめる」「特別な景観や個性的な外観の施設がある」が上位となった。

 こうした需要に応えるため、県はホープツーリズムのメニューにアウトドアを加える。太平洋が見渡せる岬でのキャンプや福島県沖で水揚げされた魚介類「常磐もの」を味わう機会などを組み込む方針。首都圏でのイベントなどで新たなツアーの魅力を発信する。

 訪問する意向はないとの回答は72%だった。観光地や体験、宿泊施設、文化・歴史、特産品などを「知らない」との理由が多い。訪問した経験があるのは4%で、50代以下の研究者が多い。

 震災と原発事故から13年が経過し、特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示が全て解除された。道の駅や宿泊施設の整備が進み、交流人口拡大を図る環境が整いつつある。県観光交流課の担当者は「県外の人により多くの情報を届けたい。福島を応援してくれる人をさらに増やしたい」と話した。

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