厳木駅の待合室ギャラリー再開 地元高校生と保護者連携「下校時に過ごしやすく」 画家・中島潔さん作品の模写看板も

待合室としての利用が再開されたギャラリー「風のふるさと」。厳木高生の下校時の憩いの場になっている=唐津市のJR厳木駅

 一時は閉鎖されイベント時にだけ使われていた唐津市のJR厳木駅舎内のギャラリー「風のふるさと」が1月から、再び待合室として利用できるようになった。地元の厳木高と生徒会、保護者が連携して再開にこぎ着け、活用を模索する動きが広がる。厳木町出身の画家・中島潔さんの絵画を模写した看板も21日にお披露目される。

 ギャラリーはJR九州が駅舎内を改築し、1995年にオープン。生徒が毎日清掃したり、中島さんの模写絵を駅舎に飾ったりと学校側が熱心に関わったことが、ギャラリー開設につながった。

 待合室や絵画展示で活用されてきたが、少なくとも2008年には閉鎖して日常的な利用ができなくなっていたという。6年前の地元団体による清掃イベントをきっかけに、給水塔のライトアップや美術展などで年に数回活用してきた。

 同校では全校生徒約200人の9割超が列車を利用しており、閉鎖後は駅舎内に入りきれず、外に座り込む生徒も多かった。生徒会と保護者から「待ち時間を過ごしやすい駅に」と要望が上がり、昨年7月に実施したアンケートでは、いすや雨どいの設置、トイレの清潔さを求める回答が多く寄せられた。

 保護者でつくる教育振興会は、県の補助金などを活用してギャラリーに机やライトを設置。トイレのにおい対策も実施し、入り口には市が扉を取り付けるなど整備が進んできた。学校は昨年12月にギャラリーの鍵借用をJRに申請し、保護者が夜間に施錠するなど協力することで、1月初旬から下校時間に待合室として開放できることになった。

 新たに設置される看板は3代目で、同校美術部が16年ぶりにリニューアルする。生徒有志はより過ごしやすい駅舎を目指し、レトロな木造駅舎の一角での駄菓子の販売を県の企画甲子園で提案した。生徒会副会長の光武聖愛さんは「これまでギャラリーには入ったこともなく、存在自体を知らなかった。待ち時間も楽しく過ごせる場所にしたい」と話す。(横田千晶)

中島潔さんの絵画を模写したギャラリーの看板は21日にリニューアルされる

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