ようやく登場した若き日本人横綱候補

大阪で開催中の大相撲・春場所の11日目で新入幕の尊富士が新大関琴ノ若を寄り切り、11連勝で単独首位を堅持した。1場所15日制が定着した昭和24年以降、新入幕力士の初日からの11連勝は元横綱大鵬と並ぶ最長記録となった。

この時点で、早ければ13日目に初優勝の可能性が浮上。新入幕優勝となれば、大正3年5月場所の元関脇両国以来110年ぶりの快挙となる。青森出身の尊富士は、力士たちの大型化が進む中、185センチ、143キロで均整の取れた肉体の持ち主でまだ24歳の若さ。

保育園から相撲を始め、小学校、中学校と全国レベルの大会で好成績を残し、相撲の名門・鳥取城北高等学校に進学し、大学はこれまで多くの幕内力士を輩出している日大に進学。相撲のエリートコースを歩んだ。

大学卒業後、角界では名門のの伊勢ヶ濱部屋に入門。初土俵から十両昇進までの所要場所数が歴代7位の8場所、初土俵から幕内昇進までの所要場所数が歴代1位タイの9場所というスピード出世を果たした。

「長らく、日本人力士の横綱候補は出ては消え、出ては消えての状態だったが、ようやく若き日本人横綱候補が彗星のごとく現れた。今場所前には、尊富士の高校の後輩・北青鵬が暴力事件でクビになり、暗雲が漂っていたが、部屋の先輩で横綱・照ノ富士の休場も尊富士の大活躍が埋めてしまった。後は、これ以上無駄に体重を増やさす、ケガに気を付けていれば、自然と結果は付いてくるのでは。肉体的などのビジュアルでも、相撲をやっている子どもたちがあこがれ、熱烈な女性ファンが増えそうな気配を漂わせている。いずれにせよ、角界のニュースターが誕生した」(相撲担当記者)

今後、このまま順調に出世を重ねた尊富士が、歴代の名力士たちの記録をどれほど塗り替えて行くのかが注目される。

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