訪日客照準にホテル改装 北陸新幹線延伸で レコードバー、日本酒コーナー…

23日にオープンするレコードバー=金沢市内のホテル

 金沢市内のホテルで、北陸新幹線敦賀延伸開業に合わせ、インバウンド(訪日客)向けの改装が相次いでいる。往年の洋楽レコードを食前酒とともに楽しめるバーの新装や、外国人が使いやすいように全客室をリニューアルした施設も。石川、富山両県内では能登半島地震で一時落ち込んだ観光需要が北陸応援割などで徐々に回復しており、特に消費意欲の高い訪日客の取り込みへ知恵を絞る。

 金沢東急ホテルは23日、2階に「レコードバー」をオープンさせる。食前にバーで酒を1杯飲む欧米客が多いことから、ホテルの新たな魅力づくりとして企画した。

 レコードは、音楽プロデューサーの立川直樹さんが1960~70年代の曲を中心に、英ロックバンドのビートルズや米歌手ビリー・ジョエルらの約90枚を選んだ。ジャズやロック、ポップスなど多彩な曲をそろえ、バーテンダーが店内の雰囲気に応じて曲を流す。

 担当者は応援割と敦賀開業で大型連休の観光客が増えると見込み、「他のホテルにない特長で、観光客を呼び込みたい。訪日客はもちろん、国内客にも懐かしい雰囲気を楽しんでもらう」と改装の狙いを語った。

 新型コロナで休業していたANAクラウンプラザホテル金沢の19階バーも15日、訪日客の取り込みを図るため、営業を4年ぶりに再開した。

  ●案内デザイン一新

 客室全てをリニューアルしたのは、アパホテル金沢駅前だ。テレビ画面に映される館内案内のデザインを一新し、ピクトグラム(絵文字)を多用して訪日客が内容を一目で分かるようにした。

 2階レストランも約40種類の日本酒を常備し、北陸の地酒を小さなグラスで気軽に味わえるコーナーを新たに設けた。

 富山県内でも改装の機運は高まっている。10月に延期された黒部宇奈月キャニオンルートの一般開放に向け、黒部市宇奈月温泉の5旅館は新年度、客室への露天風呂整備や和洋室化などを予定する。

 延対寺荘は27部屋にベッドを導入したり、壁紙を貼り替えたりして、居心地の良さを高める。担当者は北陸新幹線の敦賀延伸に加え、4月19日の黒部峡谷トロッコ電車の一部区間開通を挙げ、「コロナも落ち着き、旅行会社も誘客に力を入れている。大勢のお客さんが来ることを期待したい」と話した。

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