学校の思い出つづる「全校文集」「卒業文集」廃止の動き…背景には「添削」「印刷」「書き起こし」教員の業務負担

門出の春。各地で卒業シーズンを迎えていますが、かつて、学校の思い出などをつづる「卒業文集」や「全校文集」を作ったという人も多いのでないでしょうか?
その文集ですが、近年、廃止する動きがあるようです。背景には一体何があるのでしょうか。

南部町立会見小学校 生田久枝 校長
「会見小学校ができたのが昭和40年なんですが、その時から始まっていて、今年度で終わることにしました」

こう話すのは、鳥取県南部町にある会見小学校の生田校長です。

実はこちらの小学校では、学校創立以来続けてきた「あいみの子」と呼ばれる全校文集を、今年度限りで廃止することにしました。

南部町立会見小学校 生田久枝 校長
「(授業で)日頃から作文を書いたり、まとめたりっていう活動はしてきているのですが、この全校文集も、その国語の学習の中で子どもたちがまとめたものを作品として載せています」

1年生から6年生までの全校児童が書いた思い出などをつづる全校文集。

学校での思い出を残し続けようと、毎年、卒業シーズンに合わせて作り、全校児童に配っていたということですが、いったいなぜ、廃止にするのでしょうか?

南部町立会見小学校 生田久枝 校長
「この文集を作るために、子どもたちが書いたものを、教職員が活字にパソコンで打ち直してという作業があったり、本当に限られた時間の中で、今何を大切にしないといけないのかなというところを、職員でこれまで協議を重ねてきました」

背景にあったのは、教員の業務のスリム化です。

この全校文集の制作期間は、約3か月。

教員は、児童らが手書きした文章を添削しパソコンで書き起こす作業や、印刷会社とのやり取りなどがあり、業務の負担になっているといいます。

さらに、文集が完成した後にも教員の負担となる作業が‥‥

南部町立会見小学校 生田久枝 校長
「印刷で出来上がってきてみたら、名前が違っていたというところが分かって、児童にとっても家庭にとっても、本当に申し訳ないんですけど、シールで修正という対応をしました」

確認や修正作業にも時間を取られるといいます。

生田校長によると、教員の働き方改革のためにこうした全校文集や卒業文集を廃止する動きは、県内のみならず全国でもあるとのこと。

会見小学校では、全校文集を廃止すると決めましたが、卒業生が思い出を残そうと作る卒業文集は、引き続き残していくということです。

長年続けてきた伝統を廃止するという決断に悩んだ一方で、教員の負担削減が、子どもたちのためにつながると考えています。

南部町立会見小学校 生田久枝 校長
「やっぱり私達の仕事は、子どもたちの力をつけるというところなので、やっぱそこを一番に考えた上で、(教員の)業務改善というところになってくると思いますので、まず一番は子どもたちにとって何が大事なのかなっていうところを考えています」

教員の負担軽減に向け、現場の試行錯誤は続きそうです。

© 株式会社山陰放送