日本がパリ行きを決めれば、GS同組ほぼ確定のマリ。異例の前哨戦で敵将の狙いは?【U-23代表】

U-23日本代表は3月22日、国際親善試合でマリ代表と対戦する。4月に行なわれるU-23アジアカップ(パリ五輪の最終予選を兼ねる)を前にした大事なテストマッチだが、“本番”を見据えた一戦になるかもしれないのだ。

2日前にはパリ五輪の男女サッカーのグループステージ組分け抽選会が実施。この結果、日本が出場権を獲得した場合、マリと同組になる可能性が高まった。

パリ五輪におけるアジアの出場枠は3.5。U-23アジア杯の1位から3位に出場権が与えられ、4位は6月にアフリカ予選4位のギニアとラスト1枠を懸けたプレーオフ(PO)を戦う。POを勝ち抜いたチームは本大会でグループAに入り、残るアジアの3枠はそれぞれグループB、C、Dに振り分けられた。

マリが配されたD組には“アジアの1位”が入るのだが、日本サッカー協会によると、この場合の1位はU-23アジア杯の優勝チームではなく、東京五輪の結果に基づくものだという。日本は前回大会でアジア最上位の4位。POを経て出場権を獲得しない限り、D組に入ることが決まった。

当然、マリとマッチメイクした時点で想定できたことで、U-23代表を率いる大岩剛監督も冷静に受け止めている。「組み合わせ抽選会の結果によって(明日のマリ戦で)何かを変えようとは思っていません」と話したように、日本はアジア最終予選に向けて準備を進めていくだけ。今まで積み上げてきたスタイルを貫きつつ、選手の力を見極めることになる。

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では、一方でマリ側は日本戦をどう見ているのだろうか。

21日に行なわれた前日会見で、バダラ・アル・ディアロ監督は冒頭で「22日の試合は我々にとって良いテスト。このような場所に招待してもらった日本サッカー協会に感謝しています。なぜならば、アジアのチームと戦った経験がないので、アジアの地でプレーできることがありがたいんです」と話し、本大会で対戦する可能性は考慮せずに戦う意向を示した。

ディアロ監督とともに会見に出席したDFイブライマ・シセ(シャルケ)は、日本の情報を持ち合わせていないという。シャルケでチームメイトだったDF吉田麻也(現LAギャラクシー)やMF上月壮一郎(現グールニク・ザブジェ)と面識はあるが、来日前に知っていた大岩ジャパンの選手は、同じドイツの地でプレーするDF内野貴史(デュッセルドルフ)だけのようだ。

今回の日本戦を指揮官は選手を試す場にしたい考えを明かし、「アフリカの予選で呼べなかった選手も何名か入れていて、前に入っていた選手も呼んでいてテストしようとしている」とのことだ。

日本に対し、マリはどのような戦いを見せてくるのか。「テクニックがあるチームで、ボールを保持するのが好きで、空中戦よりもしっかりパスを繋いでビルドアップをしたいチーム」と自チームを称したディアロ監督。その実力は未知数だが、すでに五輪出場を決めているだけに、侮れないチームであるのは間違いない。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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