IMFトップが選挙絡みの利下げ圧力に警鐘、「中銀は独立性維持を」

David Lawder

[ワシントン 21日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は21日、今年は世界全体で多くの選挙が行われる中で各国の中央銀行に利下げを迫る政治的圧力が高まっていると警鐘を鳴らし、政策担当者は中銀の独立性を維持しなければならないと訴えた。

ゲオルギエワ氏は、2007年から21年までIMFが調査したところでは、独立性の高い中銀ほどインフレ抑制に成功していると強調。「利下げ要求はそれが時期尚早であっても広がりつつあり、今年は世界の全人口の半数が投票するのに伴って、こうした流れは強まる公算が大きい。中銀の意思決定と人事に政治が介入するリスクは増大しており、各国政府と中銀当局はそのような圧力に立ち向かうべきだ」と述べた。

同氏によると、新型コロナウイルスのパンデミック中に世界の金融システムが崩壊するのを防ぎ、その後物価押し下げのために素早く利上げすることができたのは、政策努力とともに中銀の独立性と信認が寄与したためだ。

逆に物価高騰に苦しめられた1970年代は、中銀は物価安定を最優先する使命を与えられず、独立性を守るはっきりした法的根拠もなかった結果、しばしば政治家から利下げするよう圧力をかけられたという。

その上で同氏は、中銀の独立性を確保するには強力なガバナンスが重要で、政府の他の部門は財政規律などを通じて中銀の使命達成を後押しする責任があると指摘した。

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