左ウイングのポジション争いが面白い。旋風巻き起こす町田の平河悠は爪痕を残せるか【U-23代表】

4月16日に幕を開ける、パリ五輪のアジア最終予選を兼ねたU-23アジアカップの開幕まで、あと1か月を切った。インターナショナルマッチウィーク外の活動になるため、代表に拘束力がない。国内組は1クラブから最大3名までの選出で調整を進めているようで、海外組の招集は各クラブの意向次第となる。

そのため、国際親善試合のマリ戦(3月22日)とウクライナ戦(同25日)に臨む26名のメンバーは、U-23アジア杯で招集の見込みがある面々で構成された。そうした状況下で今回のリストを見ると、最も影響を受けているポジションが4-3-3の両ウイングだろう。

右は最前線にも対応可能な小田裕太郎(ハーツ)、左は斉藤光毅(スパルタ)が不在で、両サイドとインサイドハーフでプレーできる三戸舜介(スパルタ)もリストから漏れている。また、昨年10月のアメリカ遠征で台頭した近藤友喜(札幌)は開幕戦で負傷しており、台所事情は苦しい。

ただ、希望はある。J1初参戦ながら首位を走る町田で、攻撃陣を牽引している平河悠だ。

「(同じポジションの)海外組が来られていませんが、後々入ってくることを考えれば、このメンバー争いに勝たないといけない。チームだけではなく、自分のパフォーマンスにもフォーカスしてやっていく。まずはチームとしてこの2試合をどういう結果で終われるか。それが最終予選に繋がってくる」

現状を冷静に整理した平河は昨年から継続して招集されており、大岩剛監督の考え方も理解している。主戦場は左サイドだが、右サイドでもプレーできる汎用性を持ち合わせているのもアドバンテージだろう。

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今回の活動では、動き出しに秀でた小見洋太(新潟)、パワフルな突破が持ち味の佐藤恵允(ブレーメン)らがライバルと見なされるが、コンディションでは分がありそうだ。

今季はここまでの4試合で1ゴールを挙げており、切れ味抜群のドリブル突破で好機を演出。緩急自在の仕掛けで相手を置き去りにするだけではなく、前方にスペースがあれば積極的に運んでゴールに向かっていくプレーも増えた。好調の要因について、平河はこう話す。

「去年よりもやれることが増えている。コンディション面が良く、身体作りが良い方向に進んでいるので結果につながっている。去年は抉るようなシーンや自分の特長を出すシーンという意味では、物足りなさが自分的にはあった。そういう意味では、今年は去年よりも多く見せられているし、そこがもっと数字に繋がってくれるといい」

とりわけ身体作りを見直したことが、平河の好調を支えている。去年は怪我の影響などもあり、重心や姿勢が悪くなっていた。怪我をしにくい身体を作る点も含め、改善を図るために自分の身体と向き合った。そうした成果が今季は出ており、ドリブルの迫力がアップ。チャンスに絡むシーンも明らかに増えたのも、そのためだ。

アジア最終予選前最後の活動で、求められるのは結果。今まで積み上げてきた努力を結実させるべく、海外組の不在を吹き飛ばすようなパフォーマンスで日本を勝利に導けるか注目だ。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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