需要、地域性適した場へ 環境変化で種類多様化 希望って何ですか 第3章特集ー読者とともに考えるー

居場所で遊ぶ子どもたち

 子どもが食事や勉強をはじめ、生活支援を受けながら安心して過ごす「子どもの居場所」。県内では子どもの貧困対策として始まった取り組みだが、近年、子どもを取り巻く環境の変化から、その種類が多様化している。政府による居場所づくりの指針も策定され、今後は子どものニーズや地域の特性に応じた居場所づくりが求められている。

 県内では2010年、日光市内に、貧困などの困難を抱える子どもが基本的な生活習慣を身に付けられるよう家庭の機能を補完する居場所ができた。14年度には県のモデル事業として、宇都宮、小山、那須塩原の3市で同様の居場所が開設された。現在は各市町が把握している範囲で12市町に少なくとも24カ所ある。

 児童虐待の相談対応件数や不登校の増加など、子どもを取り巻く環境は厳しさを増している。近年は貧困対策だけでなく、子どもが安心して過ごせる場として、子ども食堂や学習支援教室などを含めて「居場所」とすることも多い。また物理的な場所だけでなく、体験活動やオンラインゲームなどの空間を含む場合もある。孤立の解消やコミュニティーの再生といった役割も期待されている。

 全国的には、日本財団が16年から設置費用や初期の運営費を助成する「子ども第三の居場所」事業を展開。安心して過ごせる場所で食事などの基本的な生活習慣を整えた上で、発達に応じた学習支援やキャンプ、料理といった体験活動などを実施する。今年2月1日現在、42都道府県200拠点に広がった。県内では家庭機能を補う24カ所の居場所のうちの6カ所を含む、7カ所が開設されている。

 21年12月に閣議決定された「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針」は、子どもが安心して過ごせる「こどもの居場所」の整備を政府として取り組むことを初めて明記した。

 昨年12月には子ども・子育て政策の指針となる「こども大綱」とともに、「こどもの居場所づくりに関する指針」が閣議決定された。こども基本法では、こども大綱を基に都道府県や市町村が「こども計画」を作成することを努力義務としている。同指針は「こども計画」に居場所づくりを位置づけ、計画的に推進していくことを求めている。

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