大林組とNTTコミュニケーションズ、ドローンを活用した建設現場の工事進捗管理に成功。1時間から10分に効率化

本実証により、屋内建設現場の巡回・記録に要する時間を従来の1時間から10分に短縮するとともに、日々変化する状況下において、安全に自動巡回ができることを確認したという。

背景

建設業界では、工事写真の撮影および測量の目的でドローンの利用が進んでいますが、屋外での使用が多く、GNSSが取得できない屋内での活用は進んでいない。

大林組とNTT Comは、2021年より現場巡回をはじめとする施工管理業務の効率化をめざし、屋内建設現場でも安全に自動巡回できるドローンの活用に向けて、運用検証を共同で実施してきた。

従来、ドローンの利用においては、離着陸やバッテリー交換のために操縦者が現場にいる必要があったが、本実証では自動給電可能なドローンポートと専用のドローンポートシステムを導入することにより、ドローンのみの完全無人巡回を実現した。

ドローンが開口部から地下に降下する様子

本実証の内容

本実証は東京都港区の大規模建設現場にて実施した。当現場は地上と地下の工事を並行して実施しており、地下空間では重機による掘削作業が行われていたことから、職員の立ち入りが困難で進捗管理に時間を要していたという。

本実証では、Skydio, Inc(以下、Skydio)製の自律飛行型ドローン「Skydio 2+」と専用のドローンポートシステム「Skydio Dock and Remote Ops.」の活用で操縦者を不要とすることにより、進捗管理の効率化を図った。

「Skydio 2+」は、機体の上下に搭載されたカメラで取得した映像から、周囲の三次元環境と自己位置を推定する。これにより、工事の進捗により周囲の状況が変化した場合でも障害物を回避し、安全に自動巡回できる。

「Skydio Dock and Remote Ops.」は、事前の飛行ルートやスケジュールをクラウドサービス「Skydio Cloud」上で設定する機能がある。また、自動離発着、自動給電機能を備えており、特に大規模現場において課題となる、現場と現場事務所間の行き来に要する手間と時間を削減できる。

さらに、ドローン映像のリアルタイム配信機能により、遠隔地から現場状況を確認することが可能となり、施工管理者や普段現場に立ち入ることのない発注者も、安全に工事進捗を確認することができる。実証期間は2023年11月から3ヵ月にわたり、平日の21時から約10分間の飛行を合計56回実施した。

ドローン・ドローンポートを活用した工事進捗管理イメージ

両社の役割

同一ポイントで自動撮影された写真群

今後の取り組み

大林組とNTT Comは、2024年度内に建設現場での本運用開始をめざし、現場への導入支援体制を整備していくという。

本実証ではドローンで撮影した動画による進捗管理を実施したが、今後は動画から切り出した連続的な静止画を点群生成ソフトで解析し、三次元点群データや3Dモデルを作成するなど、映像の二次利用による工事進捗管理の高度化と施工管理業務の効率化を推進していくとしている。

自動飛行で取得した動画から解析された3Dモデル

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