《能登半島地震》「自分事」で復興支援 群馬・渋川北中生が防災活動 石川・七尾市出身教諭の実家が被災

被災地支援や防災意識の啓発に取り組んでいる各委員会の委員長

 能登半島地震を受け、群馬県の渋川北中(三原一志校長)の生徒が、被災地支援や校内での防災意識の向上に取り組んでいる。被害が大きかった石川県七尾市出身の教諭から、現地の様子を聞いたことにも背中を押されたようだ。被災地の復興を願いながら、自分事として行動に移している。

 冬休み明けの1月、七尾市の実家が被災した松林達浩教諭(45)が、実家周辺や石川県の状況を2年生に話した。生徒は自分たちにできることを話し合い、学級と給食、広報、生活、図書、福祉、放送の各委員会が活動することになった。

 図書委員会は被災した同世代を思い、勇気づけるメッセージを添えたお守りを手作りした。2月下旬、松林教諭が母校の中島中に全校生徒分を届けた。他の委員会でもニュースで知った被災地の状況を壁新聞や校内放送で知らせたり、給食のロス削減を呼びかけたりしたほか、義援金も集め、石川県に送金した。

 災害への備えに意識を向けたのは生活と図書委員会。大きな揺れで倒れれば危険なロッカーの整頓を定期的に点検し、ポスターや特設の図書コーナーで防災に関心を寄せてもらった。生き埋めになった際、助けを呼ぶのに有効とされるホイッスルを校内各所に置くことも考えている。

 生徒は被災地に思いを巡らせ、身近な備えを見直すようになった。生活委員会委員長の大沢琉生さん(2年)は「被災地の状況が今より少しでも良くなってほしい。今回の被害は他人事ではなく、自分の身にも起こりうる」と話す。

 普段の学校行事も生徒主体で作り上げることが多いという。三原校長は「ここまで自分事と捉え、一歩を踏み出してくれたのは頼もしい」と目を見張っていた。

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