土壇場でチームを救う同点弾。SHIBUYA CITY FCの9番・政森宗治の決意「前の選手の責任を果たしていきたい」

[東京カップ2次戦 準決勝]南葛SC 1(4PK1)1 SHIBUYA CITY FC/3月17日/清瀬内山運動公園サッカー場

SHIBUYA CITY FCは3月17日、天皇杯出場に繋がる東京カップ2次戦の準決勝で、南葛SCと対戦。先制を許したものの、後半終了間際に追いつく。だがPK戦の末に敗れた。

東京都リーグ1部のSHIBUYAは、2次戦1回戦で関東リーグ1部の東京23FCをPK戦で下して4強に進出。準決勝では、同じく関東リーグ1部に所属し、今季から風間八宏が監督に就任した南葛を相手に再び、ジャイアントキリングを狙った。

SHIBUYAを率いる増島竜也監督は「南葛さんの特長は中央から崩してくるということ。枚数の多い中央の選手に、こちらの中盤の守備がどれだけ良さを消して、カウンターに繋げられるかが重要」と試合展開を分析していた。

その言葉通り、南葛の中央での作りに猛然とプレスを仕掛け、ハーフライン近辺でボールを奪い、カウンターを繰り出す。SHIBUYAのペースで試合は進んでいたが、前半アディショナルタイムにFKのこぼれ球を蹴りこまれ、1点ビハインドでハーフタイムを迎えた。

「ディフェンスもうまくハマッていて良い流れの前半だった。それでも何度かあった決定機を決めきれないと失点することになる。ああいった場面でチャンスを逃さないのは、さすがだなと思う」と増島監督は敵を称えた。

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迎えた後半、増島監督は9番のFW政森宗治を投入。前線の活性化と、攻撃のギアをもう一段上げる狙いがあった。

政森は「前の試合の改善の意味もあって、自分が後半から出た」と振り返る。東京23戦では先発し、前半のみで交代。先制に成功した後半は相手に退場者が出て、さらにチャンスは増えたが、突き放すことができず、PK戦に持ち込まれた。

そうした展開にならないよう、政森は後半から投入された。

「準々決勝の一人多いなかで決めきれなかった部分を決めきるために、自分を後半から入れると監督から事前に言われていた。90分出たい気持ちはもちろんあったけれど、チームのためなのでそこは納得して受け入れた」

そして後半のラストプレーで、政森はペナルティエリア内で後ろから倒されPKを獲得。これを自ら沈め、土壇場でチームを救った。

試合はレギュレーションの関係で、延長戦なしのPK戦に突入。SHIBUYAは1人目が失敗、2人目が決め、迎えた3人目は政森。後半終了間際のPKと同じコースを狙ったが、無情にも相手GKのセーブに阻まれた。

南葛は4人目までの全員が成功し、SHIBUYAの敗退が決まった。今年の天皇杯挑戦は終わったものの、シーズンは始まったばかりで、リーグ戦、そして関東リーグ2部昇格への挑戦がSHIBUYAには待っている。

そこに向けて政森は「個人としては去年、得点王を狙える位置にいながら2位に終わってしまった悔しさがある。前線の選手として、自分が点を取ってチームを勝たせたい。点を取ることで試合に長く出られるだろうし、ここぞの場面での信頼にもつながると思う。そういう前の選手の責任というのを果たしていきたい」と力強く語った。

SHIBUYAのFW陣には今シーズン、J3の松本から渡邉千真、八戸から宮本拓弥が加入し、ハイレベルなポジション争いが予想される。東京都リーグ1部の開幕戦は3月24日。誰がFWとしてピッチに立つのか、今後のSHIBUYA CITY FCに注目だ。

取材・文●平龍生(サッカーダイジェスト編集部)

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