小指を食いちぎられる…作業員がクマに襲われ大けが 専門家が指摘「子グマを守るために冬眠穴から出てきて攻撃してきた可能性」

ここ5年ほどで3月の人身被害は初めてです。
22日、江津市の山あいで作業していた男性がツキノワグマに襲われ、大けがをしました。
3月のツキノワグマ、こんなところに注意が必要です。

22日午前9時ごろ、江津市桜江町谷住郷の山中で、森林組合の50代の男性作業員がツキノワグマ1頭に襲われました。

男性は顔や手を噛まれ、左手の小指を食いちぎられる大けがをしました。
ドクターヘリで病院に運ばれ治療を受けていますが搬送時には意識があり、命に別状はないということです。

現場は江津市役所桜江支所から北東に直線で5キロほどにある山の斜面です。

男性は朝から仲間の作業員と10人で樹木を伐採した跡に残った根や枝を取り除く作業をしていました。

現場では成獣のクマと子グマ1頭が目撃されているということで、子連れの母グマに襲われたとみられるほか、江津市では1月にも江の川を挟んで対岸でもクマが目撃されています。

島根県でのクマによる人身被害はここ6年間で10件発生し、13人がけがをしていますが、3月の人身被害はありませんでした。

ツキノワグマにとって、いまはどんな時期なのでしょうか。

島根県中山間地域研究センター 鳥獣対策科 田川哲さん
「冬眠から覚めて、起き始める時期です。山の中に、この時期はエサが豊富ですので、わざわざ人里に出てくることは秋と違って少ないです。むしろ山菜取りに山に入る機会がこれから増えますので、山菜採りの山中で会わないように気をつけることが大事です」

ツキノワグマは3月~4月にかけてが冬眠明けの時期。
また、1年の中でみると、親子で行動しているクマが多い時期でもあるといいます。そして、今回の被害から考えられることは…

島根県中山間地域研究センター 鳥獣対策科 田川哲さん
「冬眠穴で育児中だった母グマが作業音とかで刺激されたために、子グマを守るために冬眠穴から出てきて攻撃してきた可能性が高いと思います」

そのため、子グマが単独でいる場合でも母グマが近くにいる可能性が高いため速やかにその場を離れてほしいといいます。

島根県中山間地域研究センター 鳥獣対策科 田川哲さん
「クマ鈴やラジオで自分の存在を知らせることが一番大事です。あとは万が一に備えてクマ撃退スプレーも持っておく。あと、物音がするほうに近づいたらクマに襲われたという事例もあるので、山の中では音のするほうにむやみに近づかないことが大事だと思います」

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