ふるさと北海道で緊張の “晴れ舞台” 野球部仲間と卒業式にも 広島カープ・ルーキー滝田一希「一生忘れられないイニングに」プロへの一歩

新井カープの新たな “家族” の一員となったルーキー・滝田一希 投手(22)。ふるさと北海道でオープン戦に登板するチャンスをつかみ、その後にあった卒業式にも出席しました。滝田投手の “帰省” を追いました。

3月13日、エスコンフィールド北海道。広島から1800キロ離れたこの地で、ある選手の夢が一つかないました。

球場アナウンス
「ピッチャーは矢崎に代わりまして滝田。ピッチャー・滝田、背番号30…」

ドラフト3位で広島カープに入団した 滝田一希は、北海道出身。さらには、このエスコンフィールドと同じ北広島市にある星槎道都大学出身という縁もあります。

プロとしての晴れ舞台を滝田投手のお姉さんも見に来ていました。

滝田投手の姉 滝田美里 さん
「広島に行っちゃってから、あんまり姿を見ることが映像としてしかなかったので、元気な姿をこの北海道で見られるのはすごく楽しみです。誇らしいですよね。本当に自分の弟なのかなって思うことも多々あるんですけど、でも顔を見ればきょうだいだなって思うし、本当にプロの野球選手なんだなと。不安なところもありますけど、彼なりにがんばってくれると思うので、それを楽しみに見たいと思っています」

8回にマウンドに上がった滝田ですが、緊張もあってか、先頭バッターにストレートのフォアボールを与えてしまいます。

ただ、2人目のバッターの初球にストライクを取ると、5球目。ストレートで三振を奪います。

8回をゼロに抑えて、9回のマウンドにも登った滝田は、「あこがれ」と公言する 松本剛 と対戦。結果はフォアボール。本人も「気合が入ってしまった」と次回のリベンジを誓います。

その後、1点を与えた滝田は、イニングの途中で降板…。くやしさも残ったエスコンの初マウンドを振り返ります。

広島カープ 滝田一希 投手
1と1/3回 球数38 奪三振2 与四球3 失点1
「応援してくれた方々もいたので、いいところを見せようと張り切りすぎた部分もあったのかもしれないです。いい経験ができたと思って、次の練習からやっていきたいなと思います。あの9回をしっかり3人で締めるピッチャーにならないといけないですし、あの回はすごく、“一生 忘れられない1イニング” になったのかなと思います」

その登板の2日後(3月15日)、まだまだ雪が積もる北広島市にやってきました。目的は、滝田の母校「星槎道都大学」。この日、行われたのが卒業式です。学生生活最後の思い出に密着させてもらいました。

この日もカープの一員だということを胸に、球団のスーツを身にまとい、卒業式に参加した滝田。数か月ぶりに同級生と会い、表情は常に穏やかでした。

大学4年間の野球の成績と、ドラフト指名された功績をたたえて、学校から表彰(星槎スポーツ大賞)を受けるなど、大学生としても有終の美を飾ります。

記念撮影する滝田投手をからかう同級生たち
「メディア(向け)の顔をしている(笑)」
「髪をかきあげてみようか」「うおーい!」

野球部の同級生たちは非常に温かく、滝田投手も「本当にみんなと一緒に野球ができてよかった」と4年間をかみしめていました。

滝田投手と記念撮影する同級生たち
「カープの “C”!」

そして、滝田投手がこの大学に入学するきっかけとなった野球部・二宮至 監督に最後のあいさつ…。

もともと、滝田投手は母子家庭という環境もあり、高校卒業後は働くつもりでしたが、偶然、高校時代の登板を見た二宮監督が声をかけて、大学進学に至りました。

星槎道都大学 二宮至 監督
「われわれも、送り出した側も、また彼の家族も本当に喜ばれるような成績を残せるような選手になってほしいなっていうのがね。チャレンジしていくっていうのは、一度しかない人生だから本当に応援してあげたいですよね」

最後に滝田投手が訪れたのは、大学近くにある常連のとんかつ店「とんかつ八福」。なかなか会えなくなる仲間たちと楽しい最後のひとときを過ごしました。

実は、2日前のエスコンフィールドでの登板は、大学野球部総出で見に行っていたそうです。

滝田一希 投手
「ブルペンで投げているときは見に来てくれて、みんな。ブルペンを囲まれて、すごく緊張しましたけど、来年、エスコンで試合があるので、そのときには帰って、もっといい姿を見せられればいいかなと思います」

滝田投手の幼なじみ 吉田翔 さん(4年)
「すごいなと思って。これがプロかみたいな感じで見ていました。球の質をブルペンで見ていても、なんかね、上から見ていたけども『うわぁ』って…」

野球部マネージャー 工藤奨摩 さん(3年)
「今までとは違った雰囲気というか、どうしてもチームのためになりたいっていう意識が本人の中でも一番強く出ていたのかなと思ったので、それも踏まえて今後、2年後・3年後に1軍で活躍して、またエスコンに戻ってきてくれたらいいなと思っています」

学生として最後の行事を終えた滝田。地元の友人、さらに家族の期待を一身に背負い、プロ野球選手としての人生を歩み始めます。

広島カープ 滝田一希 投手
「大学生としてはやったなと思いますけど、もう社会人なので、いい部分も悪い部分も出てくるので、そういう中でどうやって成長できるか考えながら、カープが優勝したときにベンチにいたり、輪にいたりとか、投げていたりとかできるような選手をめざしていきたいです」

◇ ◇ ◇

RCC野球解説者 天谷宗一郎 さん
1月中旬に入寮して約2か月間、すごくしんどかったと思うんです。広島に来て、宮崎に行って、沖縄に行って…。その2か月間のリフレッシュも兼ねて非常にいい時間になったんじゃないかなと思うし、本人は「 “一生忘れられない1イニング” になった」って言っていたので、本当に中身の濃い北海道への帰省になったんじゃないかと思います。

石田充 アナウンサー
1年目のこの時期に地元で投げることができて、いろんなお世話になった人にも元気な姿を見せることができた。また、「シーズンをがんばろう」というエネルギーももらったと思うんです。

青山高治 キャスター
いやあ。野球部総出で応援に来て、ブルペンを囲まれていたって、そりゃ緊張もしたでしょうね。

田村友里 キャスター
仲間にもご家族にも愛されてるんだなっていうのが、すごくわかりました。

天谷宗一郎 さん
一言、いいですか? お姉さん、滝田くんは2軍に落ちましたけれども、だいじょうぶです。地道に一歩ずつステップアップしていますよ。

石田充 アナウンサー
そうですね。早ければ、日本シリーズでエスコンフィールドにことし行く可能性もありますし、交流戦であれば来シーズンということになりますけれども。まずは、いろんな1年目に慣れていきながら、自分の力をマウンドで発揮してほしいです。

天谷宗一郎 さん
自分を信じてほしいですし、言葉一つひとつとっても自分をしっかり見ることができている性格だなっていうふうに感じます。

(RCC「イマナマ!」カーチカチ!テレビより)

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