【最速レビュー】新型やくも273系試乗会「381系と全然違う」「ゆったりしてる!」記者も“最高の乗り心地”を体感

私たちを酔わせてきた「381系やくも」がついに...!

JRの特急「やくも」をご存知でしょうか?岡山~出雲市(島根)を結ぶ、中国山地越えルートを爆走するJR伯備線の列車です。

その「やくも」号に現在使用されている車両は、全国で唯一となってしまった国鉄型特急電車の「381系」(【画像①】)。これが、カーブの多い伯備線で揺れに揺れて、「酔ってしまう」と評判なんです。

かつて筆者も、体調を整えずに「やくも」に乗って山陰に出張した際、ガッツリ酔ってしまいました。また、家族旅行で岡山から根雨(鳥取)に行った際に、新見から先の区間で妻が「気持ち悪い、私を酔わせてどうするつもり」とトイレから出て来なくなってしまったほどです。

これまでRSK山陽放送では、ネットに溢れ返る「ゆったりやくも」ならぬ、乗車すると乗り物酔いに悩まされることから「ぐったりはくも」と呼ばれている、この国鉄型車両381系についての記事を幾度となく紹介してきました(、もしくは下部の関連リンクから)。

そしてついにこの日がやってきます。4月6日、待望の「新型やくも・273系」デビューです(【画像④】)。何とこの新型車両、注目すべきは「乗り物酔いをこれまでより23%改善」というではないですか。(、もしくは下部の関連リンクから)。

何とデビュー前に「新型やくも273系に乗れる」チャンス到来!

果たして新型車両は「揺れるのか、揺れないのか」その真偽を確かめるチャンスがやってきました。3月22日「新型やくも273系・試乗会」実施です。JR西日本さんから「乗りませんか?」と報道公開のお誘いがあり、社として乗らせて頂くことになりました。

ちなみにそのルートは、岡山駅12:27発→新見駅13:57着、新見15:06発→岡山16:24着の往復。【画像⑤】のようなピカピカの車両で、酔わなければ4時間近くの楽しい旅となること間違いなしです。

ただ筆者は試乗会当日は内勤なので、「381系やくも」経験者として「273系」との比較を体験することは出来なくなってしまいました。

よって当日予定が空いていた、報道歴3週間の砂山記者(【画像⑤】)に乗ってもらうことになりました。

乗車する砂山記者「私、三半規管最強です」成立するのかこのリポート...

(筆者)「特急やくもって知ってる?」
(砂山記者)「いや、知らないっス!」
(筆者)「乗り物酔い、する方?」
(砂山記者)「三半規管が最強なので、乗り物酔いしたことないです!」

乗り物酔いが経験したことがない。。。ガラガラと様々な取材の前提が崩れていきます。。。

(砂山記者)「前日に『完璧な体調不良の状態』を作って来ましょうか?」
(筆者)「いや、普通でいいです」

3カメ・記者3人で臨む「新型やくも」試乗会

ということで、山陽・山陰を行き来する人と鉄道ファンにとっては、関係者以外の方が「新型やくも」に乗れるという歴史的な日です(前日に自治体関係者等向け試乗会が行われたそうです)。

なのでRSK山陽放送では万全な取材シフトを敷きました。今回まずは「ニュースでオンエアすること」が前提なので、いかに映像のカット数を稼げるかがポイント。

倉敷市内で別取材を行うクルーが、取材現場近くの「揺れそうなカーブ」での走行シーンを撮るべくスタンバイ(【画像⑤】はロケハンで送られてきた倉敷市内のカーブ)。

岡山駅に親子&鉄道ファンが集結!

また筆者も出発シーンを撮るべく、昼休みに会社を抜け出してJR岡山駅に向かいました。

出発時刻は12:27分。JR岡山駅の5番ホームにたどり着くと、すでに273系やくもは入線済みだったのですが。。。予想通りとは言え、人!人!人!!

皆さんにお話を聞くと、「京都から来ました」「奈良から来ました」という、ほぼ県外の方たちが大集合。また試乗会の応募に当選した方たちだけでなく、抽選で外れたという広島の方も「悔しくて来ました」とのことでした。

という訳で、砂山記者は「抽選で外れた人の分も、実際に走っている中で、感じたことをしっかりみなさんに伝えられるようにがんばります!」と273系に乗り込みました。またどこよりも早くネットニュースに出すべく、感想を都度メールで送って貰うことにしました。

そして「新型やくも」は出発した さぁ、乗り心地は?

12時27分、今回は4両編成のやくもがJR岡山駅5番ホームから出発しました。カメラを向けていると、【画像⑨⑩】のように座席から多くの試乗会参加者の方々が外に向かって手を振ってくれています。どうぞ楽しい旅を!

さっそく出発から15分、倉敷駅あたりでしょうか。砂山記者から情報が送られてきました。

(砂山記者)
「出発後の車内チャイムが、Official髭男dismの『Pretender』『I LOVE...』の2曲でした!メロディも相まって、まるで新幹線に乗っているような気分です」

JR西日本によると、Official髭男dismの楽曲使用は、山陰ゆかりのバンドで採用されたということで、本来は出雲市→岡山が『Pretender』、岡山→出雲市が『I LOVE...』が流れるそうですが、どうやら試乗会は片道乗車のため、両方を流して下さったようです。

また普通車の座席は【画像⑫】のように『沿線の山々』をイメージした緑色がベースになっていて、古来から神事に用いられ、人を守る魔除けの意味もある『麻の葉』の模様が用いられています。明るい車内で、どうやら乗り心地も抜群のようです。

最も気になる「揺れ」はどうなのか?!

そして、出発から30分後。そろそろカーブが増え始める岡山県総社市の豪渓駅あたりでしょうか。今度は「揺れ」に関するメールが届きました。

(砂山記者)「まあまあ揺れています」
(筆者)「揺れている?!」
(砂山記者)「でも座っていてカーブに差し掛かっても、気持ち悪さは感じないです」

今回、273系に導入されているのは、揺れを極力抑えて、乗り心地を向上させよう新たに開発された「車上型の制御付自然振子方式」。振子を制御する新型の装置などを取り入れたことで、緩やかな車体の傾斜を実現。。。さっそくその効果が出ているということなのでしょうか。

そして午後3時6分、新見から今度は折り返しで岡山へ。「新型やくも」試乗会の旅は、いよいよ終盤です。

「新型やくも」の座席は楽しみがいっぱい!

そして砂山記者から23枚もの写真が送られてきました。どうやら1号車にお邪魔したようです。全部載せるわけにはいかないので、一部をご紹介です。

まず【画像⑮】は、セミコンパートメントです。

とにかく大きな窓からはダイナミックな車窓が楽しめ、しかも座席がフルフラットになるそう!グループで楽しむのに持って来いです。「セミ」コンパートメントということで、座席ごとに【画像⑯】のような「緩やかな仕切り」もあり、適度なプライベート空間が保たれています。

砂山記者によると「ゆったり足を伸ばせるので、リラックスしながら旅を楽しめそう」とのことです。いいなぁ。

そして今度はグリーン車に。こちらは新幹線と同じサイズの座席になっていて、足元にもフットレストがあって、非常にゆったりと座れそうです。また座席の柄は【画像⑰】のような『積石亀甲』と呼ばれる、沿線の亀にまつわる伝説(例えば鳥取県米子市の亀甲神社など)にちなんだ亀の模様をあしらっています。

砂山記者からは「グリーン車はシートの座り心地も抜群で、リクライニングしてフットレストに足を乗せていたら、そのまま寝てしまいそうでした」とのこと。試乗会で寝てしまってはもったいない!

「普通車のお客さんで、既に寝ている方もいました」。。。よほど快適なんだと思います。なお、グリーン車の座席には【画像⑱】のような謎のテーブルが。。。これはいったい何なのでしょうか?

砂山記者に尋ねたところ、「一番前の座席で、スマホを机の上に置いて撮っただけです」ということでした。新幹線の最前部にもある、あの壁から引き出す机と同じなのですね。

乗客の皆さんに聞く「新型やくもの揺れはどうでした?」

そして、午後4時24分に273系やくもはJR岡山駅に到着。その30分後に砂山記者がRSK山陽放送に帰社しました。

一番気になるのは、「三半規管が最強」の砂山記者の感想ではなく、「381系やくも」も体験したことのある乗客の皆さんの381系と273系との比較です。試乗会中のインタビューを聴いてみました。

(試乗会参加者)
「行きは新見まで381系のやくもで来て、帰りが273系の試乗会の車両でした。行きは『ぐったりはくも』の名の通り揺れもひどくてぐったりしましたが、帰りは揺れもあまり感じず快適に『ゆったり』帰れました。快適で~す」

ついに「ゆったりやくも」を体現する乗り心地になったようです。そしてテレビカメラに映った人たちの笑顔、笑顔、笑顔。。。実は、本当の過酷なカーブは、JR西日本の方によると、今回試乗した新見駅から先の区間だそうですが、この調子ならどうやら期待が出来そうです。

新型やくも273系は、4月6日岡山駅午前9時13分発の「やくも5号」からデビュー。砂山記者は「あまりに乗り心地が良かったので、いずれこの車両で出雲市に行きたいです」とのことでした。次なる「新見から先の」リポートにもご期待ください。

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