【セ・リーグ】24年の注目“助っ人”は誰だ? 注目の投手・野手を識者が厳選!「V2のキーマン」「これ以上に頼もしい存在はいない」「パワーと選球眼で貢献できるはず」

今年のプロ野球で期待できそうな“助っ人”は一体だれか。3月29日の開幕を前に、セ・パ両リーグの外国人を対象に要注目の投手と野手のそれぞれ3人+次点を選出。セ・リーグは次のような顔ぶれとなった。

セ・リーグ投手の注目選手

ハビー・ゲラ(阪神)
野手としてメジャー昇格後に投手へ転向した変わり種は、岩崎優とのダブルストッパー構想も浮上しているくらい評価を高めている。オープン戦では初登板から3試合連続無失点。メジャー時代はスライダーに分類されていたカッター(大きく曲がるスライダー=スイーパーも持っている)が効果的で、一部では“カット魔神”との呼び名も上がっている。岡田彰布監督も「ボール球でも低めにいく」点を評価しており、V2のキーマンとして注目される。

アンドレ・ジャクソン(DeNA)
今永昇太とトレバー・バウアーが抜けてしまい、弱体化が避けられないベイスターズ先発陣にあって、ジャクソンにかかる比重はかなり大きい。髪型とヒゲのインパクトも相当だが、肝心のピッチングでも最速157キロ。3月9日の西武戦は4回無失点、速球はすべて150キロ台を計時した。カーブの落差も、昨年は平均17.3センチでメジャー全体8番目にランクされたほど。硬軟取り混ぜた投球で、主力2人の穴をどこまで埋められるか。
トーマス・ハッチ(広島)
近年のカープの外国人投手は、現楽天のターリーなどリリーフで好成績を残している者はいても、先発で年間を通じて活躍したのは19年のクリス・ジョンソンが最後。オープン戦3試合を投げ7回1失点のハッチは、速球が150キロ台前半と驚くほどの速さはないが、制球がまとまっていて大崩れの心配は少ない。新井貴浩監督からもローテーション入りを確約され、KJのような大活躍とまではいかなくとも、先発の層を厚くしてくれそうだ。

次点:ウンベルト・メヒア(中日)
昨年5月に途中入団した際は、充実している投手ではなく貧打解消のため打者を取ったほうが良かったのではとも言われたが、8試合に登板し、防御率2.23の好成績を残した。今季もオープン戦初登板の3月17日阪神戦は5回無失点と順調のよう。ただ、昨年の奪三振率は3.65とかなり低く、そのためK/BBも1.11にすぎなかった。開幕投手候補にも挙げられているが、もう少し三振を取れるようになれれば、より一層の活躍が期待できるだろう。
セ・リーグ野手の注目選手

タイラー・オースティン(DeNA)
38試合しか出られなかった22年に続き、昨年も肘と肩のケガで出場22試合にとどまったが、今季はオープン戦で10試合出場と元気な姿を見せている。3月15日の楽天戦では外野フライで二塁へタッチアップするハッスルぶり。外野ではなく一塁を守っていることで、ケガの防止にもつながると見られている。21年に28本塁打、OPS1.006を記録した強打が完全復活すれば、度会隆輝の後ろの2番打者として、これ以上に頼もしい存在はいない。

ドミンゴ・サンタナ(ヤクルト)
オースティンと同様、健康なら確実に成績を残せる打者。22年は60試合のみの出場ながら15本塁打、OPS.904を記録した。しかし昨年は故障もなく136試合に出てリーグ3位の打率.300を記録した反面、本塁打は18本。本拠・神宮球場の狭さを考えても、メジャーで年間30本を打った経験のある打者としては、いささか寂しい本数だ。3割を打てることも、30本ペースでホームランを打てることも証明済みなので、今季はそれを両立したい。
ジェイク・シャイナー(広島)
キャンプ~オープン戦でほとんどヒットが出ず、外れ外国人の烙印を押されかけているが、見切るには早すぎる。メジャー経験はないけれども、昨年はAAA級で30本塁打、105打点。打率が.252と低かった分、81四球を選び出塁率は.369だった。日本でもアベレージ面では期待薄ながら、パワーと選球眼で貢献できるはず。真面目で研究熱心と評判なので、重圧の少ない下位あたりで慣れさせていけば、実力を発揮するようになるのではないか。

次点:ルーグネッド・オドーア(巨人)
メジャー通算178本塁打は、12球団の外国人打者で最多の数字。しかしながら打率は2割前後、三振も多く日本の野球には合わないタイプではないかと懸念されていた。実際、オープン戦でもなかなか当たりが出ずファンを心配させている。東京ドームのサイズを考えれば、振り回さなくとも本塁打を量産できるはずで、そのような切り替えができるなら活躍しそう。いろいろな意味で日本に適応できるか否かが、成功への鍵になると思われる。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球ドラフト総検証1965-』(いずれも言視舎)。

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