ホタルイカ、新湊で豊漁 海流が要因か、昨年から一転

青白い光を放つホタルイカ=滑川沖

  ●今月、8倍の135トン水揚げ 地震で不漁懸念も「影響なさそう」

 富山湾に春の訪れを告げるホタルイカが射水市の新湊漁港で豊漁となっている。今月の水揚げ量は18日時点で135トンと既に昨年3月の8倍に達している。群れが湾内に入りやすい海流になっているとみられ、富山湾東部の滑川漁港の水揚げも順調に推移している。能登半島地震の影響が懸念された中、昨年の不漁から一転、県内全体で豊漁となっている。漁師らは来月の最盛期に向けてさらなる漁獲量を期待する。

 新湊沖では現在、7隻の漁船が定置網でホタルイカを取っており、沖合100メートル~2キロに網を設置している。新湊漁港の水揚げ量は1日は2トンだったのが、18日が33トン、19日が42トン、20日が62トン、21日が43トンとなっている。3月中旬以降は例年より1.5倍~2倍近くの漁獲量が続いている。沖に比べ、陸に近い網で多く取れているという。

 沖合1.5キロに網を仕掛ける漁船「恒久丸」の乗組員で新湊漁協理事の岩脇俊彦さん(43)は「今月中旬以降は今までに経験したことがないほどの漁獲量になっている。この状態が続いてほしい」と期待する。

 一方、滑川市の漁業関係者によると滑川漁港の水揚げ量は今年、約35トンで順調に推移している。3月10日まで低調だったが、14日3.8トン、15日4トン、17日6.7トン、19日5トンと持ち直し、16日は最高の9.1トンを記録した。

  ●最盛期に向け「もっと取れる」

 昨年は3~6月で約70トンと、過去15年間の平均約460トンを大きく下回った。漁業関係者の一人は「昨年があまりにも悪すぎた。能登半島地震の影響もなさそうなので、これから最盛期を迎え、もっと取れると思う」と話した。

 富山県水産研究所(滑川市)は今年は例年より来遊が多いことから、水揚げ量は2238トンと見込み、過去10年の平均1261トンを大きく上回ると予測している。

 

 ★ホタルイカ漁 3月1日に解禁され、4月にかけてピークとなり、6月ごろまで行われる。富山湾では定置網で漁獲されるため傷が少なく、漁場と漁港が近いことから鮮度が良い。網にかかった無数のイカが青白い幻想的な光を放つのが特徴で、「富山湾の神秘」と呼ばれる。

© 株式会社北國新聞社