輪島朝市「再出発」 金沢・金石で出張開催

大勢の来場者でにぎわう出張輪島朝市=23日午前8時40分、金沢市金石西1丁目の石川県漁協金沢支所

  ●1万3000人来場、笑顔と涙あふれ

 能登半島地震による大規模火災で大半が焼失した輪島市の「輪島朝市」が23日、金沢市金石地区で、出張開催の形で再開した。輪島市朝市組合の組合員らは、朝市のシンボルであるオレンジ色のテントの下、海産物や輪島塗の漆器などを販売。再起を応援しようと訪れた人は約1万3千人(主催者発表)に上り、予想を超えるにぎわいに、店主らの笑顔と涙があふれた。

 「買(こ)うてって」「安するよー」。元日の悪夢から3カ月、「朝市のおばちゃん」たちの威勢のいい掛け声が、金沢の港町で復活した。「出張輪島朝市in金石」(北國新聞社後援)の会場となった金石港の石川県漁協金沢支所周辺は、雨の中、長蛇の列ができるほどの大盛況となり、組合員が元気よく商品を薦めた。

 29店でアジやホッケの干物、岩のりといった海産物のほか、輪島塗の箸やおわんなどが販売され、飲食スペースも設けられた。

 あちこちで店主と客が再会を喜び合う光景が見られ、「無事でよかった」と涙で抱き合う人たちも。この日のために輪島沖で取れたタコの天日干しを準備してきた組合員の道下睦美さん(57)は「久しぶりにお客さんと話せる場所ができてうれしい」と顔をほころばせ、来場客から「頑張って」と声をかけられていた。

 アカウオの干物などを購入した小松市今江町2丁目の大西敏栄さん(72)は「応援の気持ちで来た。人がいっぱいで驚いた」と話した。

 出張輪島朝市は、金沢市に避難した組合員有志が中心となって開催を模索。協力を買って出た金石町商工振興会や県漁協金沢支所と実行委員会を組織し、準備を進めてきた。

  ●次回はGW

 次回は、春の大型連休中に開催を予定しているほか、愛知など県外からも出張依頼が相次いでいる。

 輪島朝市通り周辺の大規模火災では、住宅や店舗など約240棟が燃え、約4万9千平方メートルが焼失した。

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