お巡りさんのクラリネット 避難所の癒しに 長崎県警音楽隊の村田さん 能登半島地震で支援活動

避難所でクラリネットを演奏する村田巡査(2月27日撮影、県警提供)

 「音楽には人の苦しみを和らげる力がある」-。能登半島地震の特別生活安全部隊として、石川県珠洲市で支援活動に従事した長崎県警音楽隊の村田美咲巡査(22)。クラリネットを避難所で演奏し、被災者の心を癒やした。「警察官の制服を見ると安心します」という被災者の言葉を胸に、日々の業務に打ち込む決意を新たにしている。
 現在、広報相談課に所属。2021年から音楽隊に入り、普段はイベントなどで交通安全や犯罪防止を呼びかけている。同市への派遣期間は2月24日から3月6日。避難所14カ所を回り、防犯指導や悩みなどの相談に応じた。

県警音楽隊の村田巡査

 村田さんは、被災地で演奏の機会があればと考え、クラリネットをバッグに忍ばせていた。これまで単独で演奏する機会はなかったが、長崎から石川県までの間や、金沢市の宿から珠洲市の避難所までの移動中、車内で譜面を見ながらリズムを頭に入れた。
 演奏したのは、東日本大震災の復興支援曲「花は咲く」「ふるさと」「上を向いて歩こう」など。初めての被災地派遣に不安もあった。しかし、演奏を聴いて涙したりする人、「ふるさとを思い出しました」「心が温まりました」と声をかけてくれる人ばかり。「言葉がなくても、音楽で胸の奥の悩みや苦しみを癒やすことができると感じた」
 「長崎県おまわりさんのミニ演奏会」と書かれた被災者手作りのチラシを見て、演奏に力が入った。苦しいはずの人たちの明るい笑顔に触れ「こちらが元気をもらった」と振り返る。
 県警によると、石川県の被災地で活動した県警災害派遣隊は警備、交通、地域各部門などの計約100人。

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