【婚活のホンネ】30歳代で年収500万円は高難度? 同世代との結婚で「専業主婦」の実現は難しいのか

厚生労働省・国税庁の資料より「子育て世帯」のお金事情をチェック

現代社会で暮らす人たちの多くが財布の紐をきゅっとしめて「節約モード」。年齢を問わずファストファッションの洋服や雑貨が人気を集め、外食でもコスパが重視されています。

20~30歳代の女性たちの趣向も15年ほど前と比べると大きく変わってきています。かつては、ボーナスでブランドバッグを購入する女性や赤文字系ファッションが人気を集めていました。

現在はブランドバッグを購入する女性は少なく服装もカジュアル化する一方で、婚活する女性が男性に求める条件はかつて経済が安定していた時期とそう変わらないようにも思います。

バブル時代は「3高(高学歴・高収入・高身長)の男性と結婚したい」という女性が多くいましたが、近年では「ハイスペックの男性でなくても、普通の男性でよい」「収入よりも性格やフィーリングを重視したい」と話す女性が多い傾向にあると筆者は感じています。

それでも、婚活女性が「普通」の男性に求める基準はまだまだ高く、現在の日本経済に追いついていないのが現実。婚活中の20~30歳代の女性の中には「同世代の男性で年収が500万円というのは少ない」「30歳代前半の男性と結婚して専業主婦になりたい」と話す方が少なくありません。

現在の日本の経済状況では女性のスペックを問わずハードルが高いことは明らかといえるでしょう。今回は、30歳代男性の平均年収のデータなどを参照し、婚活中の女性を取り巻く現実を見ていきます。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

【30歳代】年収500万円以上の男性は珍しい?平均年収をチェック

国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査 -調査結果報告-」によると、現代の日本における平均年収は458万円であることがわかります。

同調査から30歳代・男性の平均年収を見ていきましょう。

【図表1】年齢階層別の平均給与(グラフ)

【図表1】では、30~34歳男性の平均年収は485万円、35~39歳の男性の平均年収は549万円となっています。

このため、20歳代の女性や30代代前半の女性が「普通の同世代の男性と結婚したい」と言いながら男性側に「年収500万円」を求めている場合、実際は高水準を求めているということになります。

ただし、平均年収という数字は一部の高収入の人が数値を引き上げた金額であることを考慮しておく必要があります。

年収の二極化は、職業別の平均年収を見ると明らかでしょう。doda「年収の高い業種は?平均年収ランキング(業種別の平均年収/生涯賃金)【最新版】」では30歳代の「業種別平均年収ランキング」が明らかになっています。

【図表2】30代:平均年収ランキング(業種別の平均年収/生涯賃金)

【図表2】を参照すると、「金融」を除き、平均年収が500万円を超えている業種はありません。

「メディカル」や「サービス」は30歳代の平均年収が400万円台前半、「小売/外食」は300万円台のため、30歳代後半になっても500万円に達するケースは少ないと考えられます。

それでは、現在の子育て世帯の平均年収をチェックしていきましょう。

【最新】子育て世帯の「平均所得」はいくら? 女性の就業率は?

厚生労働省「2022年 国民生活基礎調査の概況」から、平均所得や母親の仕事状況など、現在の状況を確認していきましょう。

【年齢階級別】「29歳以下」1世帯あたりの平均所得は?

同統計の最新年である2021年、18歳未満の児童がいる子育て世帯の平均所得金額は785万円だったとわかります。

これは、全世帯の平均所得金額545万7000円よりも高いものです。

〈「18歳未満の児童がいる世帯」平均所得金額と構成〉

  • 総所得:785万円
  • 稼働所得:721万7000円(内、雇用者所得:689万7000円)
  • 公的年金・恩給:24万5000円
  • 財産所得:11万6000円
  • 年金以外の社会保障給付金:19万1000円(内、児童手当等:15万3000円)
  • 仕送り・企業年金・個人年金・その他の所得:8万1000円

稼働所得の内訳にある「雇用者所得」とは、世帯員が勤め先から支払いを受けた給料・賃金・賞与の合計金額で、税金や社会保険料を含むものです。

この平均金額は「689万7000円」であることから、子育て世帯の平均的な世帯年収は600万円付近だと推測できます。

一方、同調査で触れられている所得の分布によると世帯年収の中央値は423万円。年収600万円台の世帯年収割合は、7.3%にとどまります。

全世帯の所得ボリュームゾーンが「200〜300万円未満」となっていることからも、子育て世帯の平均年収は、比較的収入が多いといえるでしょう。

子育て中の母親、7割以上が「仕事あり」

子育て世帯の平均所得が全世帯の平均よりも高い背景として、考えられる要素は何でしょうか。世帯によって理由は異なりますが、統計の数字からは「共働き率」が挙げられます。

子育て世帯の共働き率を「児童のいる世帯における母の仕事の状況の年次推移」から確認してみましょう。

【図表3】児童のいる世帯における母の仕事の状況の年次推移

【図表3】から、75.7%の母親が「仕事あり」と回答していることがわかります。

これを共働き率と捉えると、2004年では56.7%、2013年で63.1%、2023年で75.7%と年々増加傾向にあると推測できるでしょう。

そもそも現代における女性の就業率は高く、女性も働くことが前提になっています。

厚生労働省「令和2年版 厚生労働白書 ―令和時代の社会保障と働き方を考える―」によると、2019年における女性の就業率は、25~29歳が82.1%、30~34歳が75.4%、35~39歳が74.8%となっています。こうした世の中では、男性側も妻は家計に貢献してくれるものだと思っている可能性も高く、相手の理解を得られるかという問題も出てくるでしょう。

20歳代・30歳代の女性が平均的な生活水準を保ちながら、専業主婦になることはハードルが高いといえます。

それでも「専業主婦」になりたい! という人はどうする?

それでもなお「専業主婦」にこだわるのであれば高収入の職業、もしくは自分よりも年上と結婚する道を検討する必要性が出てきます。

ここで、前述の調査における40歳代「業種別平均年収」ランキングを見てみましょう。

【図表4】40代:平均年収ランキング(業種別の平均年収/生涯賃金)

先にご紹介した【図表2】では「金融」を除き、平均年収が500万円を超える業種はありませんでした。

一方【図表4】では、表に記載されているほとんどの業種において500万円を超えています。

しかしそれでも、平均年収は500~600万円の業種がほとんど。40歳代後半の男性であっても相手の収入では子育て世帯の平均年収に達しないことがほとんどです。

現代社会において平均的な生活水準の家庭を築くには、女性側も週に数日でもパートに出かけるなど譲歩が必要なのかもしれません。

まとめにかえて

結婚頼みのようなタイプの女性は現代社会において行き場が見つかりにくくなってきています。

近年では「パワーカップル」という言葉をよく耳にするように、高収入の男性であっても「女性に働いてほしい」と考え流人も少なくありません。

たとえ自分自身に1000万円以上の収入があったとしても、都心にマンションなどを購入し、子どもを私立の学校に進学させるような暮らしは金銭的に難しいといえるでしょう。

結婚相手に求める条件が変化していく中で、自分自身の考え方から変えていかなければならないのかもしれません。

参考資料

  • 国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査 -調査結果報告-」
  • doda「年収の高い業種は?平均年収ランキング(業種別の平均年収/生涯賃金)【最新版】」
  • 厚生労働省「令和2年版 厚生労働白書 (平成30年度・令和元年度厚生労働行政年次報告) ―令和時代の社会保障と働き方を考える―」
  • 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」

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