夢二の才能歌で伝え 高岡市美術館の回顧展でコンサート 歌手の澤武さん、宵待草など5曲

澤武さん(右)の歌声に聴き入る来館者=高岡市美術館

 大正ロマンを代表する画家、竹久夢二のマルチな才能を伝える伸びやかな歌声が会場に響き渡った。高岡市美術館で開催中の回顧展「生誕140年 竹久夢二のすべて 画家は詩人でデザイナー」(同館、富山新聞社、北國新聞社、チューリップテレビでつくる実行委員会主催)で24日、ミニコンサートが開かれ、射水市出身のオペラ歌手澤武紀行さんが夢二作詞の楽曲などを歌い上げた。

 夢二が作詞した「宵待草(よいまちぐさ)」をはじめ、春らしい「さくら横ちょう」など5曲が披露された。コンサート会場となったエントランスホールには来館者が大勢詰め掛け、立ち見ができる盛況ぶりで、切なさや美しさを感じさせる澤武さんの歌声に何度も拍手が送られた。

 澤武さんは「宵待草」について、大学で勉強したことや、ヨーロッパで活動中にアンコールで歌っていたとのエピソードを歌の合間に披露。「短い曲の中に夢二の情熱が込められている。その歌詞と音楽が素晴らしく融合している」と語った。

 作品鑑賞後に澤武さんのコンサートを聴いた、木谷泰子さん(79)=射水市=は「歌が組み合わさることで、より夢二の世界に浸ることができた」と満足げだった。飯田育実さん(28)=高岡市=は「夢二の作品は日本と西洋が混ざったようで、今に通じるかわいらしさがあった。澤武さんの歌声で大正の雰囲気も感じられた」と話した。

 回顧展は5月6日まで。開館時間は午前9時半~午後5時。観覧料は一般1200円(20人以上の団体・65歳以上のシニアは900円)、高校・大学生500円(団体400円)、中学生以下無料。

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