イスラエル軍とイスラム組織ハマスの衝突で戦禍に巻き込まれているパレスチナ市民を支援しようと、世界各地のアーティストが連携し、コンピレーション・アルバム「Cease Silence(シーズ サイレンス)」をリリースした。収益は全て支援団体に寄付される。日本からは上山市在住のトランペット奏者・作曲家の伊藤萌さん(36)が参加し、「音楽を通し、平和への思いを共有できればいい」と語る。
プロジェクトは、エジプト在住の英国人作曲家ダニエル・メリルさんが発案した。「Cease Silence」は「沈黙を破る」の意味で、「パレスチナ自治区ガザでの危機に対する周囲の沈黙を破り、連帯して反対の声を上げる」ことを目的にする。伊藤さんは、自作の曲を投稿していたSNS(交流サイト)を通じてメリルさんと親交があった。
参加アーティストは英国や米国、スーダン、ポーランド、ドイツ、ラトビア、南アフリカなど13カ国の48組。各1曲を提供し、ジャンルはフォーク、ジャズ、ヒップホップ、エレクトロニクスなどさまざま。人種や宗教、背景を超え、現状に対する憤りや平和への祈りなどを音楽に込めた。
伊藤さんの曲「Straight Away(ストレート アウェイ)」はシンセサイザーを使ったDTM(デスクトップミュージック)で、緊迫感や苦しみを表すような重々しい曲調に、鐘の音が響く。伊藤さんは「異なる表現がそろい、世界の今を感じるアルバムになっている。音楽で平和への思いを共有し、世界で起きていることに目を向けるきっかけになればいい」と話す。
アルバムは音楽配信サイト「バンドキャンプ」からダウンロード販売している。最低価格は15ポンド(約2900円)で、寄付として金額を上乗せできる。