「紅麹」とはどういうもの? コレステロールを下げる薬「スタチン類」の開発に繋がった 「薬は紅麹菌自体とは全然違うもの」

小林製薬の「紅麹」を使ったサプリメントで健康被害が出ている問題。
小林製薬によりますと生産する紅麹は、国内外の原料商社や食品メーカーなどにも販売されていてこうしたメーカーでは、自主回収の動きが相次いでいます。
そもそも紅麹とは、どういうものなのでしょうか。

小林製薬が22日に開いた記者会見。機能性表示食品「紅麹コレステヘルプ」を摂取した複数の人に腎疾患などが起きたという報告があったと明らかにしました。

製品に使用している紅麹の成分分析を行った結果、一部に意図しない成分が含まれている可能性があり原因の特定を進めています。

これまで、あわせて26人が入院。このうち一時的に透析が必要になった人もいたということです。

小林製薬は「紅麹」を自社の製品以外に国内外の商社や食品メーカーなど52社に供給していて、メーカーによる商品の自主回収が相次いでいます。

土江諒 記者
「こちら、サプリメントがずらりと並んでいますが、小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」は並んでいません」

問題を受け、鳥取県米子市内のドラッグストアでも「紅麹コレステヘルプ」が店頭から姿を消していました。

ところで、そもそも紅麹とはどういうものなのでしょうか。

鳥取大学農学部 児玉基一朗 教授
「紅麹っていうのは、紅麹菌と呼ばれるカビの仲間です。蒸したお米に、紅麹菌をつけて発酵させたものを「紅麹」と呼んでます。特に中国とかで、お酒を作るもとになってたり、日本国内だと、沖縄とかで豆腐ようという、赤色の豆腐の発酵食品があるんですけども、それを作るときに使われたりしてます。

麹っていうのは、特に日本だと、日本酒や味噌、醤油など、いわゆる和食の調味料の元になるものですが、ただ、紅麹菌というのは、その日本酒や味噌、醤油などに使われてる麹菌とは少し違った仲間です」

では、紅麴を摂取することで、どのような効果が期待されているのでしょうか?

鳥取大学農学部 児玉基一朗 教授
「紅麹に含まれてる成分の中で、悪玉コレステロールと呼ばれているものを下げるので、それが健康に良いとか、例えば血圧を下げるというのに有効な成分とかも含まれています。
紅麹、あるいは紅麹菌全てが危険であるというようなことは、現段階では言えませんので、そこまで過剰に心配する必要はないと思います」

また、児玉教授によると、そもそも紅麹が注目されたのは、コレストロール値を下げる効果が期待できる成分が日本人によって発見されたことにあると言います。

鳥取大学農学部 児玉基一朗 教授
「実は紅麹菌が有名になったのは、日本人の研究者が紅麹菌からコレステロールを下げる成分・モナコリンKを見つけたことがあります。

薬全体でいっても、非常に大きなマーケットを持つ有名な薬の開発に繋がる化合物を見つけられたんですね。今、世の中に出回ってる、いわゆる「スタチン類」と呼ばれる有名なコレステロールの低下剤は、それと類似の化学構造を持っています。

コレステロールを下げる薬を現在服用されている方も多いと思いますが、安全性などの試験も十分行われてますし、紅麹菌自体とは全然違うものですので、薬を服用されている人が心配することはありません」

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