一部損壊に120万円支援 高岡市が県内初液状化で 県の拡充メニュー活用

一部損壊の罹災証明を受けた住宅=高岡市伏木中央町

 高岡市は新年度、能登半島地震に伴う液状化現象で「一部損壊」(損傷率10%未満)の被害があった住宅を建て替え、改修する場合、最大120万円を支援する。従来の支援制度は「準半壊」(10~20%未満)以上に限られ、一部損壊が対象となるのは初めてとなる。25日、市役所で会見した角田悠紀市長が明らかにした。

 新田八朗知事は2月、木造住宅の耐震化支援を拡充し、準半壊以上の被害が出た住宅の建て替え、改修で最大120万円を補助する支援メニューを打ち出した。その際、市町村が範囲を特定し、支援が必要と判断した場合は一部損壊も対象にする考えを示しており、これを受け、県と高岡市が協議を進めてきた。

 今回、補助対象となるのは液状化などにより、宅地に沈下や傾斜が生じた住宅で、罹災(りさい)証明を受けていることが条件。耐震改修や、基礎補強を含む建て替え、沈下傾斜対策を含む耐震改修の各工事を行う際、工事費の5分の4、最大120万円を補助する。

 市によると、一部損壊は3108件(22日現在)と市内の建物被害の大部分を占めている。壁紙の亀裂、瓦の割れなど軽微なものが含まれ、市では沈下や傾斜の住宅被害は1割以下と試算している。

 市では4月1日から受け付けを開始し、必要に応じて補正予算を編成する。角田市長は一部損壊の中でも住宅の傾きなどが対象になることをあらためて説明した上で「希望を持ち、一歩前に進んでほしいという思いで支援を決めた。住宅の傾きで苦しんでいる人を助け、次の災害への備えにもつなげたい」と話した。

  ●被災者は歓迎

 被災者からは歓迎の声が上がった。液状化の被害が多発した伏木地区の中道自治会の能森幸男会長(75)=伏木中央町=は自宅が一部損壊の判定で「新たな支援を諦めかけていた。家の傾きが進んでおり、早く支援を申請したい」と話した。自治会は60軒中15軒が移転済みか検討中で、町内に一軒でも多く住民が残ることに期待も寄せた。

  ●4月4日から個別相談会

 これに伴い、市は4月4日以降、市内2カ所で被災者支援策の個別相談会を開催する。午前9時~午後4時、1人1時間程度の相談時間を設ける。予約制で今月28日から4月26日まで電話で受け付ける。申し込みは社会福祉課=0766(20)1366=まで。開催日、場所は次の通り。

 ▽ 伏木コミュニティセンター 4月4、7、18、21日▽ふれあい福祉センター 4月11、14、25、28日

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