「頑張れ能登」甲子園包む 航空石川、感謝胸に去る

滋賀・近江の吹奏楽部も加わって選手を後押しした航空石川の応援席=甲子園球場

  ●滋賀・近江が友情応援

 25日、石川県勢2校が登場した春の甲子園は、被災地に寄り添う温かい空気に包まれた。「ガンバレ能登‼」の横断幕が掲げられ、どのチームよりも大きな拍手が送られた。輪島市の校舎が被災した航空石川は0-1で惜敗したものの、春夏2度の優勝を誇る常総学院(茨城)と互角の熱戦を展開。寳田一慧(ほうだいっけい)主将は「いろんな人に感謝したい。全力プレーが届いてくれたらうれしい」と胸を張って聖地を後にした。

 一塁側アルプススタンドには約2500人の大応援団が陣取った。吹奏楽部は航空石川と系列校の日本航空(山梨)に加え、職員同士の縁で近江(滋賀)が友情応援で参加。輪島が舞台の朝ドラ「まれ」の主題歌や、近江がチャンスの時に奏でる「ファイヤーボール」を響かせた。

 航空石川の九尾結月(くおゆづき)吹奏楽部長(3年)は輪島市河井町の自宅が被災し、避難所生活を経て金沢にある祖父母宅のマンションに身を寄せた。無残な故郷の姿に打ちひしがれる中、甲子園出場の吉報に心が弾んだ。敗れても「ここまで連れてきてくれた選手に感謝しかない。また夏に来たいです」と笑顔だった。

 航空石川の敷地を拠点に被災地の復興支援に取り組む一般社団法人チームメディカルの杉本尚美代表(56)は「精いっぱい力を出し切ってほしい」と応援に訪れた。長期化する被災状況に現場の疲弊を感じる中、「若いエネルギーや希望にみんな励まされると思う」と語った。

© 株式会社北國新聞社