海底熟成酒、復興に活用を 氷見と大宮交流

海中から引き揚げられ、お披露目された酒=氷見市漁業文化交流センター

 氷見市宇波沖の海底に昨年12月に沈められた酒100本が引き揚げられ、お披露目会が25日、市漁業文化交流センターで開かれた。市とさいたま市大宮地区の交流事業で企画された。能登半島地震の影響が心配されたが、日本酒と焼酎、梅酒は1本も割れなかった。参加者は「海中熟成復興絆酒」と銘打ち、被災地を盛り上げる活用を期待した。

 氷見市と大宮地区は約10年前から商工業者らが交流しており、昨年に「氷見・大宮海中熟成絆酒」実行委を組織した。お披露目されたのは水深15メートルの地点に沈めた「3カ月物」の日本酒、焼酎、梅酒。今月11日に宇波沖500メートルの地点で引き揚げたところ、酒瓶にはフジツボが付着し、海中で熟成させた風合いが伝わる見た目になった。

 実行委は海中に沈めると熟成が約4倍早まり、まろやかな口当たりになるとみていた。出席者からは「かどがとれておいしい」「濃くて深みのある味わい」と高評価が聞かれた。

 当初は2月ごろ引き揚げ、試飲会を考えていたが、震災でずれ込んだ。地震や潮の影響を心配する声もあっただけに、実行委の松原勝久会長は「大変なことを乗り越えた。氷見と大宮の絆のお酒を広めて交流の足がかりにしたい」と期待した。

 林正之市長は「氷見の復興の元気の源になってほしい」とエールを送った。さいたま市元経済局長の岡安博文さんも「大いにPRし震災の復興のスタートの酒にしたい」と意気込んだ。

 深さ約35メートルの地点に沈めたワインを含む約530本は約1年間熟成し、11~12月に引き揚げる。

© 株式会社北國新聞社