栄養を捨てていませんか?ほうれんそうの栄養を損なわないアク抜き法

野菜を食べるためには、洗ったり皮をむいたり切ったり、ものによってはアク抜きが必要になります。これらの下ごしらえを一歩間違うと、その次点で栄養が大流出することに! ここでは、ほうれんそうの下ごしらえのコツを見ていきましょう。ほうれんそうの栄養成分をムダにしないためには?

★ピーマンの下ごしらえ★

ビタミン、ミネラル豊富な緑黄色野菜の王様

ビタミンやミネラル、鉄など栄養がギッシリ詰まったほうれんそうは、緑黄色野菜の王様。葉先にはビタミンが多く、栄養の吸い上げ口である根元には、ミネラルやポリフェノールがたっぷりと含まれています。根元の赤い部分には、骨をつくるのに重要なマンガンという成分が含まれているのも見逃せません。

かつては「ほうれんそうの赤い部分は体に毒だから食べないほうがいい」といわれていましたが、捨ててしまっては栄養的に大損。嫌われた原因はシュウ酸というアクの成分を含んでいるためですが、サッとゆでて冷水にとればアクは抜けるので心配ありません。根元に十字の切れ込みを入れて泥を洗い落とし、根元もいっしょに調理しましょう。

【DATA】
旬:冬
保存期間:3〜4日(冷蔵庫)
主な栄養素:1束(正味270g)ビタミンC 95mg、ビタミンA(β-カロテン当量)11340μg、鉄 5.4mg(生)

【注目成分】
・β-カロテン
高い抗酸化力で老化を防ぐ。鼻やのどの粘膜を健康に保ち病原菌の侵入を阻止する働きも。

・葉酸
ほうれんそうから発見された成分で、造血効果が高い。がん予防にも働くと注目されている。

・葉緑素
ほうれんそうの緑のもと、血液中の毒素を解毒したり、悪玉コレステロールを低下させる。

【選び方】
緑が濃く、葉がピンとはっているもの。根の赤みが濃く、丈が短いもの。

【保存法】
ぬれた新聞紙に包みポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に立てて保存。

POINT
ビタミンA(β-カロテンが必要に応じて変化)は、粘膜を守り網膜を正常に保つ働きがあることから目のビタミンと呼ばれます。ほうれんそうには白内障予防に効果のある抗酸化物質ルテインも豊富! 目の健康を守ります。

栄養を損なわないアク抜き法

ほうれんそうのアクは電子レンジで加熱しても抜けません。熱湯に根元のほうから入れて1分以内でサッとゆで、一気に冷水で冷やしましょう。

一度に大量にゆでると時間が長くなり、ゆですぎればビタミン類が流出してしまいます。1束を2〜3つに分け、少しずつゆでればゆで時間を短縮できます。

ほうれんそうはカルシウムといっしょに

健康効果の高いほうれんそうですが「シュウ酸をとりすぎると尿路結石になるから避けている」という人も多いのでは? しかしシュウ酸以外の栄養もあきらめるのはもったいない。

シュウ酸はカルシウムといっしょにとれば体外に排出されやすい特徴があります。気になる人は、ほうれんそうを食べるときはちりめんじゃこをふりかけるなど、カルシウムをとれるメニューを工夫してみましょう。

※この記事は『調理 保存 食べ方で 栄養を捨てない食材のトリセツ』落合敏監修(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。


監修者
栄養学博士・管理栄養士 落合 敏

おちあい•とし●千葉県立衛生短期大学教授、茨城キリスト教大学食物健康科学科教授、天使大学大学院非常勤講師などを務める。食べ物の栄養効果についてのわかりやすい解説が人気。『食べるクスリ 甘酒ヨーグルト』(主婦の友社)ほか著書、監修書、多数。

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