「“個人献上”してほしいと頼まれた」宮内庁関係者装った献上桃詐欺事件 被告の75歳男、改めて主張 福島

「皇室への献上品」として、農家からモモをだまし取ったとされる男の裁判で、25日、被告人質問が行われ、被告の男はこれまでの主張通り「自分には献上品を推薦する権限があった」などと話した。

詐欺などの罪に問われているのは、東京都練馬区の農業園芸コンサルタント・加藤正夫(かとう・まさお)被告(75)。

起訴状などによると、加藤被告は2022年6月「自分には皇室への献上品を選ぶ権限がある」などと嘘をつき、22年8月、福島市の農家の男性からモモ4箱をだまし取るなどしたとされている。

していた。

25日の裁判では、被告人質問が行われ、弁護士から自身の権限について問われた加藤被告は「献上品を選定する権限はないが、推薦する権限はある」と話した。

また「献上には、県による献上と個人献上の2種類がある」などとした上で、19年に宮内庁の職員から「できれば個人献上をしてほしいと頼まれた」などと話した。

個人で献上できる…?献上品決定の流れ

そもそも皇室への献上品はどのような流れで決定されるのか、TUFは事件が発覚した去年、福島県に取材した。

まず、福島県内では桑折町の「あかつき」と会津若松市の「会津みしらず柿」が、皇室に献上されている。あかつきは1979年に始まり、会津みしらず柿は1928年と、100年近くの歴史があるという。

献上までの流れは、はじめに県から宮内庁に対し、知事の名前で「この県産品を献上させていただけませんか」という内容の「献上願い」を提出。それを受け取った宮内庁から「受け入れます」との返答があれば、その後、スケジュールや個数など具体的な調整に入るという。

県によると、宮内庁の決まりで「これまでに献上したことのない新規の県産品の献上は受け付けていない」。つまり、県内では桑折町のモモと会津若松市の柿しか献上できない決まりとなっているという。

起訴内容を全面的に否認している加藤被告。裁判は次回、4月22日に証人尋問が行われる。

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